災害を受けた場合に必要な「罹災証明書」ってなに?

保険

イキイキ家 両親の会話

最近大雨の災害とか多いわよね。このあたりもそうならないか心配よね。

そうだね、家が壊れたりしたらどうしたらいいんだろう。

行政の支援はあるはずよね?

もしもの時のために、災害にあったときどうしらいいのか調べてみよう。

 

これまで大きな自然災害に遭ったことがない地域でも、将来にわたって大丈夫とはいいきれません。温暖化の影響で局地的かつ短時間豪雨は、今後も増加傾向が続くとみられています。また、政府組織の調査研究では、南海トラフ沿いの大規模地震が今後30年以内に発生する確率を70から80%と推計しています。災害が発生し、自宅が被害を受けた場合には、住むための場所や食料品など公的支援を受けるためにはどうすればよいのでしょう。そのときに慌てないよう、被災の際に必要な「罹災(りさい)証明書」について確認しておきましょう。

 

「罹災証明書」とは?

 

自然災害が発生し一定以上の世帯数に大きな被害が生じた場合、災害救助法や被災者生活再建支援法が適用され、被害状況に応じた各種公的支援を受けられます。

 

罹災証明書とは、住宅被害の程度を証明する書類で、被災者の申請により市町村が交付します。各種支援を受けるための判断材料となるほか、税金の減免や各種融資の申請、既存融資の返済方法の変更などにも幅広く活用されています。

 

なお、火災による住宅被害については、消防署が罹災証明書を交付します。この記事では、自然災害によるものについて解説します。

 

罹災証明書の対象となる災害や被害は?

 

対象となる災害は、災害対策基本法に規定されている暴風・竜巻・豪雨・洪水・地震・津波・噴火などの異常な自然現象により、法律で定められた規模以上の被害が発生しているか、また被害が発生する恐れのあるものです。おおまかには、国が災害対策本部を設置した自然災害は対象となると覚えておくとよいでしょう。

 

対象となる建物は住居で、被害の程度によって、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、準半壊に至らない(一部損壊)に区分されます。

 

 

罹災証明書があるとどんな支援を受けられるの?

 

罹災証明書が必要な公的支援には、おもに次のようなものがあります。  

 

【現物給付】 生活必需品の現物給付・貸与、被災住宅の応急修理、応急仮設住宅への入居

【給  付】 被災者生活再建支援金

【融  資】 ・住宅金融支援機構 災害復興住宅融資 

建設や購入する場合3,700万円、補修を行う場合の融資1,200万円まで

       ・災害援護資金

住居の損傷状況により150万円から350万円まで(所得制限あり)

 

これらのうち、現物給付と給付について、被害の程度によって受けられる給付を示したのが、次の図です。

【出所】「災害救助法の概要 令和4年7月版」(内閣府政策統括官)

 

申請から交付までの流れやポイントは?

 

市町村で申請の際には、窓口で「罹災届出証明書」を受け取ります。市町村職員による被害認定調査を経て被害の程度が認定されると「罹災証明書」が交付されます。被害認定調査までの日数は、災害の範囲や規模により相当の日数を要することもあるため、できるだけ早く罹災証明書を申請することが、生活の早期再建につながります。

 

「罹災証明書」の交付は住居が対象です。住居以外の建物や自動車や家財などの動産などの被害は、被害認定調査が行われず「罹災届出証明書」のみ交付されます。

住居以外の被害の認定については、「被災非住家建物証明書」など独自の様式を設けている市町村もあり、自治体によって取扱いが異なります。

 

申請には、所定の申請書のほか、本人確認書類や住宅の被害状況がわかる写真が必要です。

住居の片付けや修理をしたあとでは正確な認定が困難となるため、片付けを始める前に住居の外と中の状況を撮影しておくことが大変重要です。

 

住居の外は、全体を4方向から、加えて、損傷個所を少しクローズアップして撮影します。住居内も同様に、部屋の全景と被害箇所をアップで撮影します。浸水被害の場合は、水が引いたあとでも、浸水部分の変色や付着物などから浸水の高さがわかるように撮影します。

くれぐれも、住宅や周囲が危険な状況でないか注意しつつ、可能な範囲で撮影しましょう。

 

 

【出所】「住まいが被害を受けたとき最初にすること」(内閣府)

 

被災直後には気づかなかった被害が、のちに見つかることもあります。少し落ち着いた頃に再度住宅の状況を確認し、被害が見つかった場合は、すぐに申請しましょう。

 

罹災証明書の申請には、通常数ヵ月程度の期限が設けられますが、自治体や災害の規模により異なります。状況により期限が延長されることもあるため、最新の情報を把握しておくとよいでしょう。

 

まとめ

 

災害に備え、防災グッズの準備や食糧の備蓄、避難経路の確認とともに、被災した場合の行動も知識として身につけておきましょう。被害状況の写真撮影や罹災証明書の申請などの知識があれば、もしものときに慌てずに行動できます。お住まいの市町村の公式サイトもあわせて確認しておくとよいでしょう。

 

なお、自然災害による被害で火災保険や火災共済を請求する場合は、基本的に罹災証明書は不要ですが、被害状況の写真は正確な損害認定を受けるために役立ちます。