定年退職後のライフプランって必要?

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昔の人は退職したら、年金で自由に暮らしていたようだけど、今はそうもいかないね。

年金があったとしても、いくつまで働くかは計画的に考えておいた方がいいわよね

65歳から100歳まで35年もある。どこまで生きるかわからないけど、無計画ではいられないね。

  

 

仕事や家事・子育てなどで日々忙しく、老後について考える余裕がないという人は多いかもしれません。
定年まで働いたとしたら、その後は、どのような生活をしたいですか。
高齢化の状況や年金制度の見通しなどをふまえつつ、定年退職後のライフプランの必要性について検討していきましょう。

 

「人生100年時代」って本当なの?

 

内閣府の高齢社会白書(2023年版)によれば、日本の女性の平均寿命は87.45歳と延びており、まさに人生100年時代を迎えつつあります。
また、制限なく日常生活を過ごせる年齢として定義される「健康寿命」も75.38歳と同様に延びる傾向にあります。

また、高齢者の就業率も上昇傾向にあります。2022年(令和4年)は、男女合わせての数字で、60~64歳で73.0%、65~69歳で50.8%となっています。

 

 

 

 

このような傾向をふまえ、政府が発表した「高齢社会対策大綱(平成30年)」では、高齢社会の基本的な考え方として、次のような内容が記されています。

 

 

つまり、一定の年齢で定年退職し年金で悠々自適な老後生活を送るというこれまでの画一的なパターンは終わり、年齢にかかわらず個々人の意欲や能力に応じて就労や社会参加をする社会が築かれようとしているのです。

 

将来の年金はどうなるの?

 

公的年金は、現役世代の納める保険料が、現在の年金受給者を支える「賦課方式」で運営されています。

 

少子高齢化が進み、65歳以上の1人に対する現役世代の負担増大が危惧されます。
公的年金は、こうした状況になっても将来の世代の保険料負担が重くなりすぎないよう保険料水準を固定しつつ安定的に制度を維持するため、国庫負担やこれまでの積立金をあわせた財源の範囲内で給付水準を自動調整するしくみを導入しています。

 

年金財政は5年に1度検証が行われています。
2019年の検証では、モデル収入額(現役男子の平均手取り収入)に対する年金の給付水準は61.7%となっています。

 

 

なお、このモデル年収は、妻が専業主婦の世帯ですが、夫婦共働きの世帯であっても、世帯の1人あたりの賃金水準が同じであれば、所得代替率は等しくなると検証されています。

 

今後、年金の給付水準はゆるやかに低下する見通しですが、一定の経済成長や労働参加の拡大を前提に、所得代替率50%を確保できるとしています。

 

高齢者の就業促進やパート従業員を対象とした社会保険の適用拡大が段階的に進められているのは、厚生年金への加入により将来の給付額を増やすとともに、年金制度を支える人を増やして年金財源を確保することにあります。

 

定年退職後のライフプランは必要

 

マネジョ世代が定年退職を迎えるころには、平均寿命の延びとともにセカンドステージの期間が長くなり、多様化していることが考えられます。
収入の面では、経済成長などの状況によっては、年収に対する公的年金の給付率は50%程度となることが想定されます。

 

つまり、それぞれのセカンドステージを豊かなものにするためには、現役時代から定年退職後のライフプランについて考え、準備しておくことが大切です。

 

ライフプランの考え方として、以下が参考になるでしょう。

 

■働き方や社会活動への参加
働き方や社会活動への参加は、生きがいや健康とも相関関係があり重要な要素となります。
内閣府が令和4年に65歳以上の高齢者を対象に実施した調査では、社会活動に参加している人ほど健康状態が良好で生きがいを感じているという結果が得られています。

 

■将来の住まい
高齢期の住まいは、おおまかに、自宅に住み続ける、高齢者住宅に住む、子供世帯との同居などの選択肢が考えられます。
高齢者住宅には、公的な施設である特別養護老人ホーム(特養)、民間のサービス付き高齢者向け住宅をはじめ、数多くの形態がありますし、サービスの質によって価格帯に幅があります。
選ぶ施設によって負担が大きく異なるため、ライフプランとともに、ファイナンシャルプランを考えておく必要がありそうです。

 

■老後の生活費
65歳以上の無職夫婦のみ世帯の1か月の日常生活費は平均約23万円と言われていますが、ゆとりある生活を送るための上乗せを考えておきましょう。
公的年金だけに頼るのではなく、就労や企業年金・個人年金などの資産形成を組み合わせて準備しておきたいものです。
iDeCoやNISAは、税制優遇などにより資産形成に有効な制度です。
長期運用のメリットを活かし積極的に利用しましょう。

 

まとめ

 

一定の年齢でリタイアし、年金で老後生活を過ごすという時代は終わり、個人の意欲や能力によってセカンドステージを選択する時代になりました。
何十年も先の定年退職後のライフプランを立てることは、就労状況や健康状態など不確定要素が多く難しい面があります。
しかし、暫定的にでもライフプランを作成してみると、セカンドステージの過ごし方や必要な資金を具体的にイメージできます。
仕事や趣味、資産形成など、将来の目標に向けて少しずつ準備していくことをおすすめします。