3月に残業が多いと社会保険料が増える?知って得する社会保険

税金/相続

ワクワク家 兄夫婦の会話

今年は年度末忙しいので残業が増えそうなんだ。

お仕事大変ね。3月に残業が増えると社会保険料が増えるってママ友から聞いたことがあるわ。

残業代が増えるのは嬉しいけど、社会保険料が増えるのは困るね。

でも、自分でコントロールできるわけじゃないから仕方ないわね。

 

毎月の給与から一定額が差し引かれる社会保険料ですが、いつどのように決まるのでしょうか。「3月に残業が多いと社会保険料がアップする」とのウワサも耳にします。そこで、今回は、社会保険料のギモンについて解説します。

 

社会保険料とは?

 

社会保険は、病気やケガ、出産や老齢などでも生活を守るため、給付を受けることのできる公的制度です。「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」が狭義の社会保険といわれ、会社員や一定の加入条件を満たすパートタイマーは、会社と折半で保険料を負担し、毎月の給与から収入に応じて一定額が差し引かれます。

広い意味での社会保険には、失業給付などを受けられる「雇用保険」、業務災害や通勤災害の補償を受けられる「労災保険」があります。

 

 

社会保険料はどのように決まるの?

 

月々の社会保険料は、対象者の平均給与額を一定の金額幅で区分された「標準報酬月額」にあてはめ、健康保険、介護保険、年金保険とそれぞれ一定の料率を掛けて計算します。

厚生年金保険の料率は平成29年9月以降18.3%で固定されていますが、健康保険の料率は、加入健保によって異なり、毎年見直されています。さらに、「協会けんぽ(全国健康保険協会) 」の場合は、都道府県により異なり本社所在地の料率が適用されます。40歳からは、健康保険料に加え、介護保険料も負担することになります。

 

 

3月に残業が多いと保険料がアップするって本当?

 

3月に残業が多いと社会保険料がアップするというのは、本当です。

社会保険料は、入社時に報酬見込み額に基づいて決定された後、毎年4月から6月の3ヵ月間に支給された報酬額をもとに7月に見直し、9月以降改定された保険料が適用されます。会社規定によりますが、当月分の給与や残業代が翌月払いになる企業であれば、3月分が4月支給、4月分が5月支給となります。年度替わりで多忙な3月、4月に多く残業すると算定の対象となり社会保険料がアップすることになります。

 

ほかにも気になる社会保険料のギモンに、ずばり回答!

 

【Q】通勤手当は保険料算定の対象になるの?

【A】通勤手当も、保険料算定の対象となります。通勤手当が6ヵ月分まとめて支給されている場合は、1ヵ月あたりに換算して計算します。

近年は、テレワークの浸透により、出勤した日のみ交通費が支給される企業も増えているようです。その場合は通勤手当が安くなるため、保険料を抑えることにつながります。ただし、在宅勤務手当等が会社から支給される場合は、それらの手当も算定の対象となります。

なお、通勤手当の他、役職手当、勤務地手当、家族手当なども保険料算定のもとになる報酬に含まれます。

 

【Q】ボーナス(賞与)が6月支給だと算定の対象になるの?

【A】ボーナスは、毎月の保険料の算定対象となる「標準報酬月額」には含まれません。賞与からは、支給の都度、支給額に応じた社会保険料が控除されます。社会保険料の額は、税引き前の賞与総額から千円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」とし、この額に料率を掛けて計算します。なお、賞与とは、年3回以下支給されるものをいい、年4回以上支給されるものは、標準報酬月額の対象となります。

 

【Q】社会保険料は1年間変わらないの?

【A】9月から適用された社会保険料は、原則、翌年の8月まで変わりません。ただし、大幅に増減して標準報酬月額が2段階以上変動するときは、変更後の標準報酬月額に対応する保険料に変更されます。

 

まとめ

 

標準報酬月額が高いと社会保険料も高くなるため、損したように思えるかもしれません。しかし、給付を受けるときのことを考えると、標準報酬月額が高ければ給付額も増えるため、一概に損とは言えません。たとえば、傷病手当金や出産手当金は直前の標準報酬月額、厚生年金は加入期間中の平均標準報酬月額をもとに給付額が計算されます。また、保険料の半分は事業主負担ですし、社会保険料は税制上の所得から控除されるというメリットもあります。

社会保険料が高くなることは、現在の生活に見合った給付を将来に受けるための投資と捉えれば納得感があるのではないでしょうか。