イキイキ家 両親の会話
遺族年金を受け取っていた友人が自分が受け取ることになると年金が減るって言っていたのよね。どういうことかしら?
自分の年金を受け取るから遺族年金分が減るってことじゃないのかな?
二人分もらえるわけじゃないの?
会社員の夫が亡くなったとき、残された妻は自分の老齢年金が受け取れるようになるまで遺族年金を受給することができます。
自分が老齢年金を受け取るとき、すでに遺族年金を受け取っていた場合遺族年金は自分の老齢年金に上乗せされるのでしょうか?老後の資金を考えるとき年金なくして計画は立てられません。そんな老後の生活を支える年金について確認していきましょう。
老齢年金受給前に夫が亡くなった場合の遺族年金
まず、自分が老齢年金を受け取る前に夫が亡くなった場合を確認しておきましょう。
夫が自営業者の場合は注意が必要です。国民年金加入者の場合、遺族基礎年金は子、または子のいる配偶者です。子とは18歳になった3月末日までの子どものことを指します。
つまり、夫が亡くなったとき子どもがいない、もしくは18歳以上になっている配偶者は、遺族年金は貰えないのです。
令和4年度遺族基礎年金額
- 子のある配偶者が受け取るとき 777,800 円+(子の加算額)
- 子が受け取るとき 777,800 円+(2人目以降の子の加算額)
1人目および2人目の子の加算額‥‥ 各 223,800 円
3人目以降の子の加算額‥‥‥‥‥‥ 各 74,600 円
これに対して、夫が会社員の場合、遺族基礎年金+遺族厚生年金が受け取れます。遺族厚生年金は子どもの有無を問わず、生計を維持されていた妻は遺族厚生年金が受け取れます。
遺族厚生年金の年金額は、亡くなった方の厚生年金の加入期間や報酬の額をもとに計算されます。
出典:遺族年金ガイド 令和4年度版
遺族年金を受け取っていた妻が老齢年金を受給するようになったら
妻自身も会社員として働いていた場合は、妻自身の年金が優先されます。
遺族厚生年金のうち、自分の老齢厚生年金に相当する額が支給停止となります。
遺族厚生年金が妻の老齢厚生年金より多ければ、プラスがありますが、同等や少ない額だと上乗せはありません。
老齢厚生年金や老齢遺族年金は、働いていたときの報酬がベースになるため、亡くなった夫より収入が多かった場合は、上乗せがない可能性があります。
①と②の額を比較し、高いほうが遺族厚生年金の額となります。
①亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4
②亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の2/3」と「ご本人の老齢厚生(退職共済)年金 (子の加給年金額を除く)の額の1/2」を合計した額
例
夫の遺族年金 60万円 本人の老齢厚生年金50万円の場合
- 60万円
- (60万円×2/3)+(50万円×1/2)=40万円+25万=65万円
- < ② になるため②の額が遺族厚生年金の金額になります。
ただし、決定した遺族厚生年金額について、妻の老齢厚生年金相当額が支給停止となります。
中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算
夫が死亡したときに妻が40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない場合や、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていた「子のある妻」(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る)が、子が18歳になった年度の3月31日に達したため、遺族基礎年金を受け取ることができ なくなった場合は遺族年金に中高齢寡婦加算として583,400円が加算されます。
まとめ
遺族年金を受け取っていた人が自分の年金を受け取れるようになると、自分の老齢厚生年金が優先され、遺族厚生年金のうち、ご自身の老齢厚生年金に相当する額が支給停止となります。つまり、それまで受け取っていた遺族年金と、自分の老齢年金は合わせて受給することはできません。
夫婦二人で元気であれば、それぞれの年金が受け取れるのですが、いつかは一人になります。あまり考えたくないことですが、そういった場合のこともふくめて老後資金を準備しておくといいですね。