学生納付特例制度を利用したら、猶予された国民年金は追加で支払ったほうがいい?

年金

 

学生時代は収入がなかったために、国民年金保険料の納付を猶予してもらう「学生納付特例制度」を利用した方もいらっしゃるでしょう。猶予された国民年金保険料は、後から支払ったほうがいいのでしょうか?そんな疑問にお答えするために、ここでは学生納付特例制度の内容と猶予されたときの年金への影響や追納のメリットについてご紹介します。

 

国民年金保険料の「学生納付特例制度」とは

 

日本では20歳になると、誰もが国民年金に加入することが義務となっています。しかし、国民年金保険料を納めるお金の余裕がない学生は「学生納付特例制度」を利用できます。これは、前年度の所得が一定以下(118万円以下)の学生に対し、国民年金保険料の納付を在学期間中は猶予してくれる制度です。

 

これには申請が必要で、市区町村の国民年金を担当する窓口、もしくは年金事務所に、「国民年金保険料学生納付特例申請書」とともに、学生証のコピーまたは在学証明書の原本、年金手帳または基礎年金番号通知書、本人確認書類を添えて提出します。

 

申請書は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」⇒「2.申請方法 申請書類」⇒「国民年金に関する手続き」をクリック⇒「ケース4:国民年金保険料の免除を受けたいとき(学生の方)」のいちばん上に申請書「国民年金保険料 学生納付特例申請書」のPDFがあります。

 

また、在学する学校で手続きできるところもありますので、学生課の窓口で確認しましょう。

 

国民年金保険料を支払うことができないときは、そのまま放置せず、早めに学生納付特例制度を申請しましょう。

 

学生納付特例制度を利用すると将来の年金に影響はある?

 

在学中は国民年金保険料の納付を猶予してくれる学生納付特例制度ですが、この制度を利用した場合、将来受け取る年金に何かしら影響はあるのでしょうか?

 

実は、年金への影響はあります。将来、老齢基礎年金を受給するには10年間の加入期間が必要ですが、学生納付特例制度により猶予された期間も受給資格期間にカウントされます。そのため、受給資格要件には問題ありませんが、受給額に影響します。猶予期間の分だけ、年金額が減額されます。満額の老齢基礎年金を受け取ることができない点に留意しておきましょう。

 

猶予期間があるのなら「追納制度」を利用しよう

 

学生納付特例制度を利用すると、将来受け取れる老齢基礎年金が減額されてしまうとお伝えしました。では、減額されないようにするために、何かできることはあるのでしょうか?

 

そんなときは、国民年金保険料の追納制度を利用しましょう。学生納付特例制度を利用した場合、保険料の猶予を受けてから10年以内であれば、保険料をさかのぼって追納することができます。たとえば、在学中に3年間、国民年金保険料を猶予された場合、卒業後、就職してから3年分の保険料を納めれば、将来受け取る老齢基礎年金を増額することができます。その際、分割での納付も可能です。加えて、支払った保険料は、社会保険料控除の対象となりますので、所得税や住民税の負担が抑えられる点も見逃せません。

 

ただし、国民年金保険料は納期限から3年を経過すると、経過期間に応じた加算額が上乗せされてしまう点は注意しておきましょう。

 

まとめ

 

大学や専門学校に在学中に国民年金保険料を支払うのが難しい場合は、学生納付特例制度を利用すれば、在学中は保険料の納付が猶予されます。ただし、学生納付特例制度を利用した場合、国民年金保険料を猶予された期間の分だけ、65歳以降に受給する老齢基礎年金の受給額が減ってしまう点は注意が必要です。もし、将来受け取る年金額を増やしたいのであれば、就職して収入が得られるようになったときに保険料を追納するとよいでしょう。