いまさら聞けない!日本銀行(日銀)って普通の銀行とは違うの?

資産形成/資産運用

 

日本銀行は知っているけれど、何をしている銀行なのか、普通の銀行と何が違うのかよくわかっていないという人は意外と多いのです。今回は、日本銀行3つの役割について解説します。

 

日本銀行の3つの役割

 

国家や特定の地域の金融機構の中心となる中央銀行が日本銀行です。

日本銀行にはたくさんの役割がありますが、なかでも特に重要な3つの役割があります。

 

・お金を発行する

1つめは、皆さんもご存知だと思いますがお金を発行します。皆さんが普段使っている紙幣は、正式には日本銀行券と言います。手元のお札を見てみると、千円や壱万円と書いてある上に「日本銀行券」と書かれているはずです。つまり、日本でただ一つの紙幣を発行できる銀行なのです。

金融機関から古くなった紙幣を回収して新しい紙幣に交換したりもしています。あまりボロボロになった紙幣を見かけないのはそのためですね。

ちなみに、硬貨は日銀が発行しているものではありません。硬貨を見ると「日本国」と書いてあります。つまり、日本政府が発行しているのです。しかし、流通は紙幣と同じ日銀を通じて行います。

 

・金融機関の銀行の役割

2つめは「銀行の銀行」の役割です。銀行だけでなく、信用金庫、全国銀行協会、証券会社、証券取引所なども含まれます、皆さんは通常利用している金融機関にお金を預けますが、金融機関は銀行の銀行である日本銀行の当座預金にお金を預けます。金融不安などで金融機関の資金繰りが悪化した場合に備えるため、預金者から預かったお金の一部を日本銀行に預けなくてはならないのです。それを「準備預金制度」と言い、銀行の種類ごとにある比率(準備率)以上を預けなくてはいけません。

 

 

・政府の銀行の役割

3つ目は「政府の銀行」の役割です。例えば、国が発行した国債のお金や、税金などを預かって、公共事業に支払ったり、公務員の給与を支払ったりする国のお金を管理する銀行です。このお金を国庫金と言いますが、出納や計理、政府預金の管理のほかに有価証券の受払・保管などの国庫金に関わる事務を行っています。

 

景気の調整をする日銀の金融政策

 

日本銀行には上記の3つの役割のほか、金融政策を行う役目もあります。市場に出回るお金の量を増やしたり、減らしたり、金利を上げたり下げたりして調整しています。

その政策には政策金利の操作と公開市場操作、預金準備率操作の3つの種類があります。

 

・政策金利操作

日銀が民間の金融機関にお金を貸し出すときの基準の金利を操作することです。日銀から民間金融機関への貸し出し金利が低くなると、民間金融機関から企業や個人への貸し出しの金利も低くなり借りやすくなります。景気が悪いときなどは、金利を下げて個人消費や企業が設備投資しやすい環境を作って景気を回復させます。

反対に、金利を上げると企業や個人が借りにくくなり、企業などの設備投資なども抑えられて景気の過熱を抑えたりします。

 

・公開市場操作

公開市場操作は、日銀が民間金融機関との間で国債や手形などを売買したり資金を貸しつけたりしてお金の量を調整することです。オペレーションと呼ばれ買いオペレーションと売りオペレーションがあります。

買いオペレーションとは市場に出回る国債などを日銀が購入することによって市場に流通するお金の量が増えます。お金の量が増えると金利が下がって、さらにお金の流通が活発になり、景気を刺激して回復、上昇させる効果があります。

 

反対に売りオペレーションとは、日銀の持っている国債などを民間の金融機関に売却することにより、市場に出回っているお金の量を減らします。お金の量が減ってしまうと金利も上がってしまい、お金の流通が抑制されるので景気が加熱しすぎないように調整をするときに使います。

 

・預金準備率操作

民間の金融機関は預金残高のうち一定比率以上を日銀の当座預金に預け入れなければなりません。この比率を準備率と言いますが、金融機関の種類や預金の金額、預金の種類などにより異なります。現在は1.3%から0.05%になっていてこの割合を変更すること預金準備率操作と言います。しかし、1991年10月以降変更はされていません。

また、預け入れなければならない最低金額のことを法定準備預金額と言います。

日銀のマイナス金利はどういう意味なの?

 

マイナス金利という言葉をニュースなどで聞くこともあると思います。しかし、金利がマイナスってどういうこと?お金が取られるの?と思う人もいるかもしれませんが、安心してください。私たちの預金からお金が取られることはありません。

長いデフレが続きお給料が上がらないし、景気も回復しないので金利を引き下げて企業がお金を借りやすくしてきたけど、それでもまだ効果がでないために導入したのがマイナス金利です。

マイナス金利になるのは、銀行が日銀に預けているお金に対してです。お金を預けてお金を取られるくらいなら、中小企業などに貸した方が銀行にとっては有利になる状況を作り出しているのです。つまり、世の中にお金を回すことが目的なのです。

 

日本銀行は紙幣の発行銀行としての役割、政府の銀行としての役割、銀行の銀行としての役割のほか、市場に出回るお金の量を調節して景気の調整もしている日本の中央銀行です。

 

 

 

☆この記事を書いたのは...

 

      

黒須かおり 

ファイナンシャル・プランナー CFP® FPラポール株式会社代表取締役

 

一生涯を見守るFPとして、女性を中心に将来に向けての働き方、資産形成、資産運用などmoneyとキャリアのコンサルティングを行う。

延べ3,000人が参加したマネーセミナーでの講師や、企業研修、国や行政などでのセミナー講師なども務める。30代40代女性やファミリーなどを中心に個別相談をおこなうかたわら金融機関でのお客様の資産運用アドバイザーとしても活動経験あり。年間50本以上メディアへの執筆も行う。