仕組債ってなに?

資産形成/資産運用

イケイ家 夫婦の会話

今日、投資の話をしていて仕組債っていうのがあるって聞いたの。知ってる?

名前はきいたことあるけど、難しそうでよくわからない。

そうなの、説明きいたんだけど難しくて理解できなかったの。

もし投資するなら、ちゃんと理解して始めないと、失敗するからね。調べてみよう。

 

日本または海外の国や民間企業などが発行する債券には、さまざまな種類のものがあります。その中の1つに「仕組債(しくみさい)」という債券があるのをご存じですか?これは一般的な債券とは異なる性質を持つものですが、どのような特徴のある債券なのでしょうか?今回は仕組債について、その仕組みと種類、リスクなどをわかりやすく解説いたします。

 

仕組債とはどんなもの?

 

仕組債とは、一般的な債券に特別な仕組みを組み込んだ債券のことです。スワップ(※1)やオプション(※2)などのデリバティブ(金融派生商品)が組み込まれています。投資家や発行者のニーズに合わせて満期や利率、償還金などを設定できるので、一般的な債券よりも高い利回りが期待できます。しかし、仕組債ならではのリスクもあるので注意が必要です。

 

(※1)スワップとは?

金利や通貨を交換する取引のこと。

 

(※2)オプションとは?

あらかじめ決めておいた価格で、一定期間後(1カ月後あるいは1年後など)に売買できる権利のこと。

 

仕組債にはどんな種類の商品があるの?

 

仕組債の商品は、次の2種類が主流となっています。

 

(1)EB債

EB債とは他社株転換可能債といわれるもので、場合によっては償還日に金銭が支払われるのではなく、現物株式に転換されて償還される可能性がある債券です。

 

EB債は対象株式の価格がノックイン判定水準(※3)を下回ると、満期償還日に債券を発行した会社ではなく、他社の現物株式に転換されて償還されます。そのため、場合によっては現物株式の時価が元本を下回り、損失を生む可能性もあります。

 

(※3)ノックイン判定水準とは?

株価などあらかじめ決められた価格(ノックイン価格)のことで、ノックイン判定水準を下回ることを「ノックイン」という。

 

(2)リンク債

リンク債は株価連動債とも呼ばれるもので、特定の株価指数などに連動して、償還金額や利率が変わる債券のことです。償還金は、償還日に金銭で支払われます。

早期償還判定日にノックアウト判定水準(※4)の株価を上回っているときは、償還日を待たず早期に償還されます。また、株価が一定の水準内で推移したときは、償還日に額面金額で償還されます。さらに、株価がノックイン判定水準を下回り、かつそのまま株価が上昇しない場合は、償還日に額面金額以下で償還されるため、元本割れが起こります。

 

(※4)ノックアウト判定水準とは?

株価などあらかじめ決められた価格(ノックアウト価格)のことで、ノックアウト判定水準を上回ることを「ノックアウト」という。

 

仕組債には特有なリスクがある

 

通常、債券には信用リスク、価格変動リスク、為替変動リスク、流動性リスクなどのリスクがあります。さらに、仕組債では、通常のリスクだけでなく、以下のような仕組債ならではのリスクがあるので押さえておきましょう。

 

・あらかじめ決められた参照指標によって利率が変動する仕組債では、参照指標の変動によって利率が下回ることがあります。

 

・あらかじめ決められた参照指標によって償還金額が変動する仕組債では、参照指標の変動によって償還金額が変わり、場合によっては元本を下回ることがあります。

 

・取引を行う金融機関など(スワップハウスという)に債務不履行(デフォルト)が起きれば、損失が生じることがあります。

 

参照指標とは、仕組債の発行にあたって、あらかじめ設定する「判定すべき基準」です。株価、株価指数、金利、為替、商品価格など何を基準にするかは、それぞれの仕組債により異なります。また、どのような条件のもとで、どのように組み込むかによりさまざまな形態の仕組債を発行することが可能です。

 

まとめ

 

仕組債には、一般的な債券として機能に加え、デリバティブ(金融派生商品)が組み込まれています。もともとは、機関投資家向けの商品でしたが、より利益を求める個人投資家でも購入できる金融商品です。そのため、さまざまな条件が設定されており、その内容は非常に複雑です。大きな利益が期待できると同時に、損失が生じる可能性があります。

 

設定された条件によって利率や償還金額などがどのように変動するのか、また、どのような場合に損失が生じるのかなど、その仕組みや内容、リスクを十分に理解したうえで投資することをおすすめします。