わずかな差でも大きな違い? 投資信託の信託報酬を徹底解説

資産形成/資産運用

ワクワク家 夫婦の会話

ファンドを選ぶときは、手数料の低いものを選んだらいいって聞くけど、そもそもなんの手数料だろう。

投資にかかる手数料?

どれくらい影響があるのかな?

 

投資信託を始める際に、銘柄選定でチェックしておきたいのが、「信託報酬」です。わずかな差でも、長期にわたる投資を考えた場合には、運用成果に大きな違いが生じることになりますので、運用実績とともに、投資にかかる「費用」についても考慮したいものです。信託報酬の仕組みや信託報酬が運用に与える影響について解説します。

 

投資信託の取引や保有にかかる費用は?

 

投資信託にかかる費用には、取引の際に直接負担する費用と信託財産から間接的に負担する費用があります。それぞれ、具体的にみてみましょう。

 

■直接負担する費用や税金

投資信託の購入時には、「購入時手数料」がかかります。これは、銀行や証券会社などの販売会社に、商品説明・情報提供や事務手続費用の対価として支払うものです。同じ投資信託でも、販売会社によって異なり、また、店頭とオンライン取引でも異なります。購入時手数料がかからないファンド(ノーロード)も増えていますが、2021年9月時点の株式投資信託(追加型)の販売手数料は購入金額に対して平均2.07%(一般社団法人投資信託協会統計より)です。

 

一方、換金(解約)時には、「信託財産留保額」という費用がかかります。換金のための費用を投資家が負担するもので、信託財産に留保されます。0.3%程度が一般的ですが、費用のかからない投資信託もあります。

 

また、投資信託でかかる税金には、所得税と地方税があり、分配金や譲渡益に対して課税されます。

 

■信託財産から間接的に負担する費用

投資信託には、購入時や換金時だけでなく、保有している期間中も費用がかかります。なかでも、「信託報酬」は、投資信託の運用や資産管理などの費用として、毎日信託財産の中から差し引かれるので、見過ごせません。目論見書には、日々の純資産額に対する年率で表記されています。保有しているファンドの信託報酬は、一万口あたりの信託報酬を概算値として簡易的に計算することができるので、目安にしてください。

 

そのほか、監査法人に支払う監査費用や、組入有価証券等の売買時に発生する手数料なども、信託財産から支払われる投資者が間接的に負担する費用です。

 

信託報酬は、どのように計算できるの?

 

信託報酬は、日々の純資産総額に対して、所定の信託報酬率が適用されます。そのため、基準価額の変動に応じて信託報酬の額も変動します。

したがって、保有期間中の信託報酬総額を計算する場合は、平均基準価額をもとに算出することができます。

 

信託報酬は、毎日計上されますが、実際には、半年に1回もしくは年に1回、純資産から差し引かれます。上記の例で、保有期間を1年間とし、その期間の平均基準価額が1万1000円だった場合、平均信託財産額110万円に対して、信託報酬総額は1万1000円となります。信託報酬額は、運用報告書で1万口あたりの金額を確認することができます。

 

信託報酬が運用成果に与える影響は?

 

信託報酬は、1日あたりで考えると少額ですが、長期で考えると運用成果に大きく影響を与えます。

 

平均基準価格が1万1000円のファンドで、信託報酬が0.5%の場合と1.0%の場合で比較してみましょう。

1年間では、0.5%のファンドでは5500円、1.0%のファンドでは1万1000円と5500円の差ですが、10年では5万5000円、20年間では11万円の差が生じます。実際には、基準価額は推移するため、価格が上がれば、どちらも信託報酬額の金額は大きくなりますし、価格が下げれば金額は小さくなります。いずれにしても、信託報酬の金額が実際の運用実績を上回ることは避けたいですね。

 

一般的には、アクティブファンドの方がインデックスファンドより高めに設定されています。アクティブファンドは、組入銘柄をアクティブに選別し高いリターンを目指すため、調査や分析にコストがかかるためです。あくまで平均値ですが、下の表は、公開株式投資信託のタイプ別の平均信託報酬割合です。

 

また、同じインデックスに連動する投資信託でも、運用会社や商品設定により信託報酬は異なります。例えば、三菱UFJ国際投信の投資信託の中でも、eMAXIS TOPIXインデックスとeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)は、どちらも同じTOPIXに連動するインデックス型投資信託ですが、信託報酬に差があります。

 

まとめ

 

「投資信託」は、皆が少しずつ出し合ったお金で大きな資金が作られ、ひとりでは投資できないような投資先に資金が投入されています。プロが運用する費用や資金の管理費用などは、この資金から捻出されており、これらの費用は必要経費であるものの、少しでも負担を抑えたいものです。

投資信託の運用会社や販売会社は、少しでも多くの資金を集めるために、運用や管理経費の削減に努めており、信託報酬は、年々下がる傾向にあります。

 

私たちが投資信託を選ぶ際に、こうした費用は、必ずチェックしておきたい項目です。特に、投資信託の信託報酬は、保有している期間中ずっと発生する費用であり、長期になるほど、わずかな差でも大きな負担となります。信託報酬率が高い投資信託には、積極投資で高い運用効果をめざすファンドも多いですが、運用成績が思い通りにいかない場合は、投資額に見合わない結果になることもあり得ます。一般的には、信託報酬率の低めのファンドを選ぶことをおすすめします。