マンションの火災保険、補償の選び方ポイント

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火災保険の更新が来月なんだけど、最近豪雨の被害も多いから補償を見直した方がいいかしら?

マンションの場合はマンション特有のリスクもあるんじゃない?

たしかにそうね。一度補償の内容確認しておきましょう。

 

「働き方」の変化により、テレワーク用のスペースを確保するために住み替えをするケースが増えています。「戸建て」と「マンション」、それぞれに魅力があり、価値観はさまざまです。今回は、耐震性やセキュリティ面からマンションを選ぶ人が購入時に検討する火災保険にフォーカスしてみます。

近年、今まで経験したことの無い規模の自然災害が多く発生していることも踏まえ、マンション特有のリスクに着目した火災保険の加入について、お伝えします。

 

マンションの火災保険で対象となるのは?

 

マンションは、エントランスや共用廊下・エレベーターなどの「共有部分」と、居住用に区分された個々の戸室の「専有部分」に分かれています。共有部分は、マンションの管理組合が契約者となり火災保険に加入しますが、個々の戸室はオーナー自身が加入します。加入する火災保険は、専有部分建物と専有部分内の家財が対象となり、それらについて補償内容の検討をしていくことになります。

 

火災保険の補償内容

 

火災保険は、火災だけでなく、落雷、風災、水災、建物の外部からの衝突等、水濡れ、盗難、持ち出し家財の損害、不足かつ突発的な事故などを原因とする建物や家財の損害が幅広く補償されます。

保険会社各社では、建物の種類や生活環境などのリスクに応じて、複数の補償を組み合わせたパターンから選択するセット商品の販売が主流となっています。

 

マンション特有のリスクとは?

 

マンション特有のリスクとして考えられるのは「水漏れ」で、対策として補償をつけておくことをおすすめします。

「水漏れ」とは、給排水設備に生じた事故や他の人の戸室で生じた事故に伴う漏水、放水などで、それにより生じた損害を補償されます。

給排水管設備とは、水道管、排水管、貯水タンク、給水タンク、トイレの水洗用の設備、スプリンクラー設備などを指します。

 

言い換えると、自宅で生じた事故による損害は、給排水設備によるものに限られますが、他の人の戸室で生じた事故による損害は、給排水設備に生じた事故に限らず、補償されます。

 

本来であれば、事故の発生原因となった他の人に過失があって損害賠償を請求できるような場合でも、優先して保険給付を受けられるということです。保険金を支払った保険会社が損害賠償請求をします(損害賠償請求権の代位(移転))。

 

また、このような事例は、自分が加害者となる可能性も否定できません。火災保険には、個人賠償責任特約が付帯できるので、他の契約との重複が無ければ、付帯しておくと安心です。家族全員が被保険者となり、日常生活の様々な場面において偶然の事故により損害賠償責任を負ってしまった場合が、支払いの対象となります。

 

マンションに「水災補償は不要」って本当?

 

これまでは、マンションであれば、低層階以外は「水災補償は不要だ」と言われてきました。しかし、近年、台風以外にもゲリラ豪雨などによる想定外の規模の災害が多く発生しており、一概に不要とは言い切れなくなっています。

 

例えば、次のような被害が考えられます。

・裏山のがけ崩れが発生し、土砂や倒壊物が、窓ガラスを突き破り、室内になだれ込んだ。

・ゲリラ豪雨により、排水管が処理能力を超えてベランダに水が溜まり、サッシの隙間から浸水して壁紙や床が汚損した。

 

これらは、水災補償を付帯することで、損害の程度によっては、十分支払いの対象となりうる被害です。

マンションであっても、ハザードマップを活用するなど立地上のリスクや個別の構造上のリスクなどを検討したうえで、水災補償の付帯を判断すべきだと言えます。

 

まとめ

 

火災保険の補償は、フルスペックで加入すれば安心ですが、保険料が負担となります。掛け捨てのため、リスクの大きさと保険料のバランスをどう考えるかというのが、最終的な判断の物差しになります。保険料を低く抑えたい場合は、補償を外すのではなく、自己負担金を設定するという方法もあります。

 

マンションは、コンクリート造という構造上、火災になるリスクが低いため、木造住宅に比べると、保険料が低く抑えられています。住宅は、生活の拠点となる大切な資産ですので、補償内容の判断に迷った場合は、安心できる内容を選択するのが、いざという時に後悔しないでしょう。

各保険会社によっては、サイト上で保険料シミュレーションができますので、条件を変えて金額を確認してみるとよいでしょう。