自転車保険の義務化ってどういうこと?

家計/ライフスタイル保険

 

東京都内では、これまで努力義務とされていた「自転車保険への加入」が、2020年4月より義務化されました。2015年10月に兵庫県で義務化されて以降、各自治体で拡がりつつあります。とはいえ、すべての人がすぐに「自転車保険」に加入しなければいけない訳ではありません。義務化の対象は、「相手への損害賠償保険」です。自動車保険や火災保険、傷害保険に加入している場合は、保険証券を確認してみましょう。「個人賠償責任」という特約が付帯されている場合には、新たに加入の必要ありません。

 

自転車事故による賠償事例 ~高額な損害賠償額

 

自転車との接触、歩行者との接触等の事故における損害賠償額が高額になるケースが増えています。

 

①男子小学生(11歳)が自転車で坂道を下り走行中、女性(62歳)と正面衝突、女性は意識が戻らない状態となる。

→男児の保護者に対し賠償額9,521万円の支払い判決(平成25年 神戸)

 

②男子高校生が自転車で歩道から車道を斜めに横断したところ、対向車線から自転車で直進していた24歳男性会社員と衝突し、男性会社員には言語機能の喪失などの重度障害が残る。

→賠償額9,266万円の支払い判決(平成20年 東京)

 

③女性が自転車で歩道を通行中、路地から歩いて出てきた女性(35歳)と衝突、女性は骨折。

→賠償額1,706万円の判決(平成23年 埼玉)

 

こうした高額な賠償金支払いの備えとして、自転車保険の加入が推奨から義務化への流れとなっています。

どんな自転車保険に加入すればよいの?

 

義務化と聞いて、あらたに加入を検討される方が多くいらっしゃいます。
まずは、自転車保険という「商品」でなく、どんな補償を備えるべきかについて考えてみましょう。
東京都条例では、「自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等」と記載されています。

 

チラシにも記載されていますが、自転車利用時に限らず日常生活における備えとして、「個人賠償責任保険」が該当します。

「個人賠償責任」とは?

 

相手を傷つけてしまった場合、故意でなくても治療費のほか被害者のその後の生活と被害に遭わなければ得られたであろう収入の金額を賠償として支払うことになります。

日常生活において、相手や相手のモノに対して法律上の損害賠償責任を負った場合に、被害者に支払う損害賠償金を補償するのが「個人賠償責任補償」です。

 

自動車保険や火災保険や傷害保険等に特約として付帯している場合がありますので、まずは、加入している保険を確認してみましょう。付帯されている場合には、重複となりますので新たに加入する必要はありません。重複で加入しても、補償が手厚くなる訳ではなく、保険料のムダとなりますので注意が必要です。

自転車保険に加入するならどこで加入すればいいの?

 

上記の保険に付帯されていない場合は、現在の契約中の自動車保険や、火災保険などに中途付加することも可能です。

また、新たに加入する場合はインターネットやコンビニの端末の操作で加入することもできます。 また、クレジットカードの有料付帯サービスを利用する方法もあります。

 

各自治体で独自の「区民交通傷害保険」(名称はさまざま)を募集している場合もあります。基本的には、窓口が自治体であるだけで、引受会社は損害保険会社のため内容は変わりません。募集期間が限られていますので、タイミングがあえばよいかもしれません。

個人で契約するより家族型がオトク

 

家族それぞれが保険に加入するよりも、全員が被保険者(保険の対象)となる家族型であれば、コストを抑えることができるのでおすすめです 。

 

示談交渉などのサービスは安心ですが、無料の場合のほか、保険料割増で選択できる場合など商品により相違点がありますので、見積り時には注意が必要です。

 

今回「義務化」された「相手に対する損害賠償」は、個人賠償責任補償でカバーすることが可能ですが、ご自身のケガや自転車の修理費用までは補償されません。

自転車の事故のみ対象となる自転車保険のほか、突発的な事故によるケガもふくむ傷害保険でカバーする方法も選択肢です。保険料負担も考慮しつつ検討しましょう。
自転車保険の検討をきっかけに、保険の見直しを検討してはいかがでしょうか。

 

 

 

☆この記事を書いたのは...

 

      

大竹麻佐子

ファイナンシャル・プランナー CFP®、相続診断士、整理収納アドバイザー

 

証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て2015年FP事務所開業。相談・執筆・講師として活動中。

より豊かに自分らしく生きるためには、「お金と向き合うこと」が大切です。

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