最近新NISAの話題をよく聞くね。
興味はあるけど、もう60代だし、やってもいいのかな?
やったとしてどんな商品選べばいいのかしら。
いよいよ新NISA制度がスタートしました。
しかし未だに運用を始められない、どのような視点で運用商品を選べば良いのか分からないと悩んでいる方が多く見受けられます。
そこで、FPが考えるおすすめの運用方法を年代別に3回シリーズでお伝えすることにしました。
今回は、60代以降の方が新NISAを活用する際に押さえておきたいポイントを解説していきます。
新NISAは資産の寿命を延ばす手段
60代以降の方が資産運用に二の足を踏む理由の大半が「運用期間が不十分」ということでしょう。
今さら資産運用を始めても遅いと思われている方も多いようです。
しかし本当にそうでしょうか。
厚生労働省が調査した令和4年のデータによると、60歳の方の平均余命は男性23.59年、女性28.84年となっています。(※1)
60代から新NISAを始めたとしても、必要な金額を取り崩しながら残りは運用を継続していけば、20年以上運用期間を取れる可能性があります。
(※1 出典:厚生労働省 令和4年簡易生命表 令和4年簡易生命表の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp))
60代からの資産運用の目的を「お金を殖やす」ではなく「目減りを抑える」と考えると、納得感があるのではないでしょうか。
例えば65歳で定年退職を迎えた時に、預貯金が2000万円あったとしましょう。
毎月8万円ずつ取り崩して生活をすると85歳で預貯金は底をついてしまいますが、新NISAの制度を活用し、年率3%で資産運用しながら取り崩せば、資産寿命は98歳に延ばすことができます。
低リスク運用が大前提
60代以降の方が新NISAで運用する商品は低リスクなものが良いでしょう。
特にリタイア後の方は手堅い運用を心がける必要があります。
リスクとリターンは比例関係にあるため、リスクを抑えれば大きな収益は期待できませんが、そもそも60代以降の資産運用の目的は、前述の通り資産の目減りを抑えることです。
個別株式などひとつの資産、銘柄に集中して投資することは、市場の状況や企業の業績に大きく影響を受けるため、60代からの運用には向いていません。
では、手堅い運用とは具体的にどのようなものでしょうか。
ポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)のひとつの考え方として、株式等リスク資産の割合を「100―年齢」%程度に留めるのが良いと言われています。
ご自身でポートフォリオのバランスを管理していくのが難しいと思われる場合は、投資信託一本で、異なる地域や資産に分散して投資できる「バランス型ファンド」が選択肢に上がります。
その中で、株式やREITの比率が30%~40%程度に抑えられた、債券重点型のものを選んでいくと良いでしょう。
出口戦略をあらかじめ考えておく
60代以降の場合、「どのように資産を取り崩して使っていくのか」が最も重要なポイントとなります。
せっかく運用してきた金融資産を売るのはもったいない、もしくは売却のタイミングが決めがたいと感じ、取り崩しに踏み切れない方も実は多いのです。
しかし、お金は使ってこそ意味があるもの。殖やすという視点だけでなく、ご自身がより幸せに暮らすための資金の使い道を是非考えてみてください。
そのために、まずはリタイア後の収支を確認しておきましょう。
公的年金や加入している個人年金から見込める収入を把握した上で、ご自身の望むセカンドライフに必要な予算を算出し、資金をいくら補填していけば良いのかを計算します。
その補填したい金額を、新NISAで運用している金融商品から一定のタイミングで売却し、年金のように受け取っていくのが、取り崩し方法の一案です。
自分で売却手続きをするのは手間がかかりますが、金融機関によっては自動的に毎月定額を売却、または資産の一定割合を定率で売却するサービスもありますので、利用してみてはいかがでしょう。
まとめ
非課税期間が無制限となった新NISA。
60代だからといって、資産運用を始めるのに遅すぎることはありません。
ご自身のリスク許容度や望むライフプランに合わせた運用を行い、そして計画的な取り崩し方法を考えることで、資産寿命を延ばしていくことができるのです。
なお、NISA口座での定期売却サービスがある金融機関は、現段階では少数です。
NISA口座をこれから開設される方は、是非参考にして頂ければと思います。