未来を支える教育の選択肢:私立中学校の授業料助成プログラムとは?

子どものお金

  

 

東京都では、私立中学校に通う生徒の保護者を対象に、令和5年度より授業料に対する経済的負担を軽減するプログラムがスタートしました。対象となる世帯年収は、都が実施している私立高校の実質無償化の基準と同様の目安910万円未満の保護者とし、年額10万円が助成されます。次年度以降も継続的な実施が見込まれるため、子どもの将来の進学について検討する際に、ぜひ知っておきたい制度です。

 

東京都 「私立中学校等授業料軽減助成金」とは?

 

子どもの義務教育に私学を選択した一定の保護者への助成は、国による実証事業として平成29年度から令和3年まで実施されていました。これを受け、東京都では、私立中学校に通う生徒の割合が増加傾向であることをふまえ令和5年度から独自の事業として「私立中学校等授業料軽減助成金」を開始しました。

 

対象となるのは、都内在住の私立中学校等に通う生徒の保護者で、世帯の区市町村民税額が要件を満たす場合に、年額10万円が助成されます。

 

【申請の対象者と助成額(令和5年度の場合)】

・居住要件

保護者と生徒が、令和5年5月1日から申請時まで引き続き都内に居住

 (生徒が、学校の指定する都外の寮に移り住んだ場合も対象)

 

・在学要件

令和5年9月1日現在、私立学校等に在学

(対象校であれば、都外の学校でも可)

 

・収入要件(区市町村民税課税額)

令和5年度の区市町村民税課税標準額をもとに算出した金額が一定額以下の世帯が対象です。

保護者1人のみ給与収入がある4人世帯(夫婦と子2人)では世帯年収約910万円未満が目安となります。

課税標準額は、会社員であれば、毎年5~6月頃に区市町村から会社経由で届く「特別徴収額の決定通知書」で確認できます。

なお、助成金の申請には、課税証明書(または非課税証明書)の提出が必要です。

 

 

・助成額(年額)  

10万円 (10万円の範囲内で保護者が負担する授業料額が上限)

 

申請方法や注意点は?

 

助成金の受給には年度ごとの申請が必要です。9月1日~9月30日までの期間内に、申請書に住民票や課税証明書などを添付して、(公財)東京都私学財団あてに「特定記録郵便」で郵送します。その後審査を経て、1月下旬に審査結果が通知され、助成金が口座に振り込まれます。

 

 

年1回のみの申請であるため、住民票や課税証明書などの必要書類は早めに準備したうえで、期限内に漏れなく申請するよう注意が必要です。
また、この制度は、保護者が負担した授業料額に対する事後的な助成であるため、授業料払込み時の不足額を助成金で充当することはできません。

 

その他の授業料軽減のしくみ、他県の状況

 

東京都の授業料軽減助成金と同様のプログラムについて、他県の状況をみてみましょう。
茨城県では、保護者の年収や資産の額などが一定の条件を満たす私立小中学生を補助対象者として、その学校を設置する学校法人に対して、年336,000円を上限に授業料の補助をしています。

 

このほか、神奈川県や埼玉県などでは、私立学校への入学後に、保護者の失職・死亡・離婚等により家計が急変した場合、要件を満たせば授業料の補助を受けられる制度を実施しています。
・神奈川県 「私立学校生徒学費緊急支援補助金」
・埼玉県  「埼玉県父母負担軽減事業補助金」
また、私立中学校の多くは、家計が急変した場合の学費の減免制度や奨学金の制度を設けています。

 

まとめ

 

中学受験の模試を運営する首都模試センターによると、首都圏の中学入試の受験者数は9年連続で増加しており、2023年度入試では、首都圏の小学校卒業生の4.65人に1人が中学受験をした計算と推計しています。

都内の私立中学校の学費は、平均で初年度納付金約98万円(授業料約49万円、施設費その他約23万円、入学金約26万円(東京都HPより))と高額にもかかわらず、私立中学を選ぶ家庭が増えているのが実情です。

 

初年度納付金約98万円に対する年額10万円の助成は1割程度にすぎませんが、2年生以降の72万円に対しての年額10万円は、それなりにインパクトのある金額ではないでしょうか。私立中学校か公立中学校の選択は、周囲の雰囲気に影響されやすいものです。

あらかじめ、私立中学校を進路の選択肢のひとつとして検討するステップを踏んでおくことは、子どもに合った未来の選択につながるのではないかと思います。

 

 

<参考記事等>

■東京都私学財団HP
https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo_chugaku.html

■2023年私立・国立中学受験者数は過去最多の52,600名、受験率も過去最高の17.86%に!《首都圏》
https://www.syutoken-mosi.co.jp/blog/entry/entry003881.php

■結果の概要-令和3年度子供の学習費調査
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00001.html