一級建築士になるにはどうしたらいい?いくらかかるの?

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ワクワク家 兄夫婦の会話

この前サッカーの試合を見に行ったとき、スタジアムにとても興味をもって、将来建築士になりたいって言い出したの。

地図に載るような建物が作れるなんて夢があるね!!

でもそういった仕事はきっと難しいと思うのよね。勉強もしなくしゃならないし。

どんな選択肢があるのかな?

 

「カッコイイ建築物の設計に携わりたい」というお子さんの夢に対し、親として応援したいと思うのはごく自然です。洗練されつつも機能的なデザイン、思い描くイメージを形にできる建築士の仕事には、大人でも尊敬と憧れを感じます。でも、家族や友人・知人に一級建築士がいるならともかく、進路や学費、どうすれば建築士になれるのかなど、皆目見当がつかない人も多いでしょう。そこで今回は、一級建築士への道と費用の目安について解説します。

 

建築士という仕事。スタジアムの設計は、一級建築士の資格が必要

 

日本では、「手掛けられる仕事の幅」という観点から、3種類の建築士資格があります。

 

  • 木造建築士:木造の建物の設計・工事監理ができる
  • 二級建築士:鉄筋コンクリート造など建物の設計・工事監理ができるが、高さや延べ面積に一定の制限がある
  • 一級建築士:高さや延べ面積に制限なく、鉄筋コンクリート造など建物の設計・工事監理ができる

 

一級建築士であればほぼすべての建物を手掛けることが可能です。一方、二級建築士は、主として、一般的な住宅に関わりますが、スタジアムや駅、ホールなど大規模な建築物は手掛けられません。木造建築士の場合は、さらに範囲が狭まります。

 

一級建築士をふくめた建築士の仕事のだいご味として「自分が考えたアイデアを形にできる」ことが挙げられます。自分でデザインし、図面を引いた建物が形になった時の喜びは、建築士だからこそ味わえるものです。

また、建築士は人から感謝される仕事でもあります。こだわりのマイホームを建てたいと思っても、建築士がいなくては形にはできません。顧客の話に真摯に耳を傾けて工事を進め、無事に引き渡しをした時に「ありがとう」と言われるのが無情の喜び、という建築士もいます。

 

ものづくりが好きで、人から感謝される仕事をしたいと思うお子さんなら、建築士は向いているかもしれません。

 

一級建築士になるには

 

一級建築士として仕事をするためには、免許登録が必要です。国家試験に合格したうえで、一定の実務経験を積むことが要件となっています。国家試験を受験するための「受験資格要件」と免許登録するための「免許登録要件」があり、最終学歴などにより要件が異なることに注意が必要です。

 

 

この点を踏まえ、一級建築士になるための進路を4つ紹介しましょう。

  1. 実務経験のみで目指す
  2. 工業高校・高等専門学校の建築科から目指す
  3. 建築の専門学校から目指す
  4. 大学・短大の建築に関連した学科から目指す

 

1. 実務経験のみで目指す

建築事務所などで7年間の建築実務を経験することで、。ここまでくれば、一級建築士として仕事ができるようになりますが、最低でも11年間かかる点に注意です。

 

  1. 工業高校・高等専門学校の建築科から目指す

高校進学の時点で、工業高校・高等専門学校を選択した場合、卒業後(高専の場合は、専攻科への進学後)に二級建築士試験の受験資格が得られます。二級建築士試験に合格し、さらに4年間の建築実務経験を経て、一級建築士試験に合格すれば免許登録ができます。

 

3. 建築の専門学校から目指す

高校卒業後、建築の専門学校に進学する場合、以下の3つの条件を満たせば、実務経験なしで二級建築士としての登録が可能です。

① 2年以上専門学校で学ぶ

②建築に関する科目を卒業までに40単位以上履修する

③卒業後二級建築士試験に合格する

その後、4年以上の建築実務経験を積み、一級建築士試験に合格すれば晴れて免許登録の運びとなります。

 

  1. 大学・短大の建築に関連した学科から目指す

最後に、大学・短大の建築に関連した学科から目指すケースも考えられます。この場合も上記専門学校の場合②③と同様に条件を満たせば、実務経験なしで二級建築士としての登録が可能です。その後の実務経験や

 

 

一級建築士になるにはいくらかかるの?

 

ここまでの内容を踏まえて、一級建築士になるための費用について調べてみました。

 

【パターン1】2年生の専門学校に進学し、卒業後に一級建築士を目指す場合

専門学校により学費は異なりますが、一例として、日本工学院専門学校の建築設計科(東京都大田区)の学費を紹介しましょう。

 

出典:日本工学院 建築設計科 学費

 

卒業時までの納入金および入学時の教科書・教材費などを含めると、2年間で240万円程度と考えられます。

 

【パターン2】4年生の大学に進学し、卒業後に一級建築士を目指す場合

こちらも、国公立か私立かにより大きく学費が異なります。一例として、法政大学デザイン工学部建築学科の学費を紹介します。

 

出典:法政大学 2022年度学費一覧

 

年間の学費を合計すると656万6,000円となり、4年間で650万円~700万円程度を見込みます。さらに、受験資格が得られてからは、資格試験予備校の費用として、70万円~80万円を準備しておきたいものです。

 

まとめると、2年制の専門学校から目指す場合は320万円程度、4年制の大学からめざす場合は700万円~800万円程度が目安となります。

 

まとめ

 

大学や専門学校に行かなくても一級建築士を目指すことは可能です。ただし、建築実務経験を考慮すると、かなりの長期戦を覚悟しなくてはいけません。

 

一級建築士への近道は、専門学校か大学への進学が前提でしょう。決して学費は安くないため、通い続けられるかどうかを重視して自分に合った学校を選びましょう。