子どもがいる夫婦が離婚するときは、養育費についてしっかり話し合っておいた方がいいわよ。
養育費は、自分のためではなく子どものためのお金!
目安があるので参考にするといいわね。
離婚にともない、新たな生活への希望とともに不安も多く、悩みは尽きません。シングルで子どもを育てている人も珍しくはありませんが、頑張りすぎて心身ともに疲弊するママたちが多いのも現状です。養育費について「決めていなかった」「支払ってもらえない」という悩みもよく聞きます。養育費は子どものためのお金ですので、離婚時にはしっかりと決めておきましょう。
養育費とは?
子どもがいる夫婦が離婚する場合には、離婚後の親権者を決めます。親権者は、子どもと同居して生活の世話や、教育などをしますが、生活や教育には当然お金がかかるため、親権者でない親にも収入に応じてその費用を分担する義務があると法律で決められています。その費用が「養育費」です。養育費を支払う期間は、離婚時の話し合いによりますが、一般的には経済的自立をするまでと考える人が多いようです。
養育費は毎月にかかる生活費や、教育費だけでなく、たとえば大学進学時などまとまったお金がかかる場合は、その分もお互い負担するなど取り決めをしておくこともできます。
養育費の決め方と相場
離婚した後の生活費や教育費を考えて養育費については事前に話し合っておいた方がいいでしょう。
養育費は支払う方と受け取る方両方の年収と子どもの年齢によって変わりますが、ある程度の目安がわかると話し合いがズムーズになります。
今回は、シングルマザーの凛ちゃんの場合で考えてみましょう。
前提条件
凛ちゃん年収500万円
子ども1人(3歳 認可保育園)
夫の年収800万円
養育費の目安は算定表を使うことが一般的です。算定表は裁判所で公表されており、インターネットで確認することが可能です。
教育費の算定表(養育費・子1人表(子0~14歳))によると、夫の年収800万円、妻の年収500万円子ども1人の場合、0歳から14歳までなら月あたり4~6万円、年間で48~72万円です。
15歳から19歳までなら月6~8万円で、年間72~96万円です。
つまり、凛ちゃんの場合、毎月4万円から6万円を目安に養育費を請求できることになります。
ただし、算定表は実際の生活実態や個別事情を考慮していませんので、あくまでも参考とし、柔軟に決める必要があります。
表1 養育費・子1人表(子0~14歳)
表2 養育費・子1人表(子15~19歳)
また、子どもが複数人いる場合には、養育費の相場も異なります。
養育費の相場例
夫:年収600万円 妻:年収300万円
・14歳以下の子ども1人 4万円から6万円/月
・14歳以下の子ども2人 6万円から8万円/月
・14歳以下の子ども3人 8万円から10万円/月
・15歳〜19歳の子ども1人 4万円から6万円/月
・15歳〜19歳の子ども2人 8万円から10万円/月
養育費の未払いを防ぐためにできること
離婚時に約束した養育費が払われなくなった、という話もよく聞きます。そうならないためにも、離婚費の金額だけでなく、未払いがあったときのことも決めておきましょう。
2021年4月16日、法務省から離婚届の様式を変更すると発表がありました。あらたに、子どもへの面会交流や養育費の取り決めなどをチェックする欄を設けるとのことです。
事前に決めておくことで、離婚後にトラブルになることを防ぐことができます。養育費については、子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&Aに合意書の記入例が載っていますので、ぜひ参考にしてください。
子どもの養育に関する合意書、取り決めは「公正証書」がオススメ
子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&Aにも、養育費の取り決めは口頭でなく、文書できれば「公正証書」にしておくとよいと記載されています。
公正証書とは、公証役場という国の機関の公証人が作成する文章で高い証拠力と、証明力があります。
養育費の取り決めを公正証書で作成しておくことで、養育費の支払いが滞った場合など裁判を行わなくても相手の財産を差し押さえることができるのです。
「親権者・監護者」「養育費」「面会交流」「財産分与」「年金分割」「慰謝料」などを話し合い、決めたうえで、
2人で公証役場へ行き、公正証書を作成します。作成にあたっては、公証人の手数料が必要です。金額は、目的の金額により決まり、養育費の場合は総支払額が目的の金額になります。たとえば、養育費の総支払いが1000万円までであれば、1万7000円程度が目安です。
まとめ
離婚したからと言って子どもの生活や教育について責任がなくなるわけではありません。子どもが経済的自立をするまでは、2人で育てていくということは忘れてはなりません。そのためにも養育費はとても大切なことです。お互いの責任を明確にするためにも、事前に話し合い、トラブルを避けるためにも公正証書での作成を検討するとよいでしょう。