専業主婦がiDeCoに加入?メリットってないの?

資産形成/資産運用

ワクワク家 兄夫婦の会話

パート先の人が、iDeCoに加入したっていうの。私たちみたいな主婦でもメリットあるのかしら?

所得税とかは払ってないから、税金のメリットはないかもね。

そうよね、iDeCoは意味がないって言ってる人もいるから。でも、その人が加入したということは、なにか知らないメリットがあるってことかもしれないわね。

 

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の準備を目的とした資産形成を国が支援する私的年金制度です。専業主婦も加入できますが、専業主婦には加入のメリットがないとの声を耳にします。本当に専業主婦がiDeCoに加入するメリットはないのでしょうか?

今回は、専業主婦がiDeCoに加入するメリットについて考えてみましょう。

 

専業主婦でも自分名義の老後資金を準備できる

 

iDeCoの加入対象者は、一部の例外はありますが、国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者、任意加入被保険者です。

専業主婦は第3号被保険者に該当し、加入することができます。パートやアルバイトなどの収入が年間130万円以下で社会保険上の扶養に入っている人も同様です。

 

なお、2022年10月からは、従業員が101人以上の企業で働くパートやアルバイトは、週の所定労働時間が20時間以上、年収106万円(月額8万8千円)以上などの条件を満たすと、社会保険への加入が義務づけられ、第2号被保険者となります。対象となる企業規模は段階的に拡大され、2024年10月以降は、従業員数が51人の企業が対象となります。

 

iDeCoに加入するには、「運営管理機関」となっている金融機関の中から1つを選び、専用口座を開設します。月々5千円以上の一定額の掛け金を積み立てながら運用し、原則60歳から給付金を受け取れます。中途解約はできず、掛け金を停止した場合でも月々の口座手数料がかかるため注意が必要です。

 

第3号被保険者の加入限度額は、第2号被保険者と同じ、月額2万3千円、年額27万6千円です。つまり、専業主婦でも、会社員と同じ額を積み立てて自分名義の老後資金を準備できるということです。

 

iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリットって?

 

iDeCoでは、積み立て時・運用時・受け取り時の3つのステージでそれぞれ税制優遇を受けることができます。

 

1.積み立て時

拠出する金額(掛金)の全額が「所得控除」の対象となります。給与所得などの所得金額から所得控除を差し引くことで課税所得金額が下がるため、結果として所属税額が抑えられます。

 

2.運用時

通常、 金融商品の運用益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの運用益は非課税です。つまり、税金が差し引かれることなく、運用益すべてを再投資に回せるため、より複利の効果が高くなります。

 

3.受け取り時

・一時金の場合:「退職所得控除」

一時金は退職所得に該当し、退職所得控除を受けられます。退職所得は老後の生活資金となるため、給与所得などに比べて税額が低くなるよう優遇されています。

 

・年金の場合:「公的年金控除」

年金額は、国民年金や厚生年金と同じ扱いとなり、公的年金控除を受けられます。

 

専業主婦の場合は、どうなの?

 

これらの税制優遇について、専業主婦が対象となるかをみていきましょう。

 

  1. 積み立て時

専業主婦は、控除対象となる所得がないため、所得控除の恩恵を受けることができません。年収103万円未満の税制上の扶養内で働いている人も同様です。これが、専業主婦がiDeCoに加入するメリットがないといわれる大きな理由です。

 

2.運用時

専業主婦でも税制優遇を受けられます。

ただし、コストを考慮する必要があります。iDeCoは、掛け金を積み立てるたびに口座管理手数料が発生します。口座管理手数料は、国民年金基金連合会などへの手数料を含めた額で、金融機関により171円から500円台まで開きがあります。掛け金の額にかかわらず定額であるため、掛け金が少ない場合はコスト負けしてしまう可能性があります。各金融機関で取扱い商品やサービスが異なるため口座管理手数料だけで判断することはできませんが、できるだけ手数料の安い金融機関を選ぶことをおすすめします。

 

なお、専業主婦に限ったことではありませんが、投資信託には、信託報酬というコストも発生します。運用商品選定の際には必ず確認しましょう。

 

3.受け取り時

専業主婦の場合、退職金はありませんが、iDeCoの一時金は税制上の退職所得として扱われます。退職所得控除額は、加入年数に応じて増える仕組みです。加入年数20年間までの間は、毎年40万円ずつ控除額が増え、加入年数20年間では800万円の控除を受けられます。仮に、毎月2万円を実質利率年2%で積み立てた場合、589.5万円となるため、別途手数料はかかりますが、全額非課税で受け取ることができます。

 

会社員は、退職金で非課税枠を使い切りiDeCoの退職所得控除のメリットを受けられないケースもあることを考えると、専業主婦は、退職所得控除ではiDeCoのメリットを最大限に活用できるといえます。

 

就職した場合でもiDeCoを継続できる

 

iDeCoに加入していた専業主婦が、就職して第2号被保険者となった場合、変更手続きをおこなうことでiDeCoを継続できます。就職先に企業型確定拠出年金(DC)が導入されている場合は、iDeCoの資産を移換することも可能です。

したがって、iDeCoの加入資格の区分が変更しても、途切れることなく長期運用のメリットを活かせます。

 

まとめ

 

日本人女性の平均寿命は87.57歳(令和3年時点)で、今後も延びると予想されています。老後生活が長くなるため、十分な備えをしておく必要があります。専業主婦にとってiDeCoは、掛け金が所得控除の対象とならないという点でデメリットと捉えられがちですが、長期目線で考えると、運用益や受け取り額について税制優遇があることは大きなメリットと言えるでしょう。また、公的年金以外に自分名義の年金があることは、老後生活への安心感につながります。

 

iDeCoは、運用面からも税制面からも長期加入が有利です。少ない金額でも長期にわたって掛け金を積み立てられる人や、今は専業主婦でも将来的に働く予定ある人は、加入を検討するとよいでしょう。