ワクワク家 夫婦の会話
投資信託を購入するとき、目論見書はかならず確認することって本には書いてあったけど、目論見書って何か知っている?
投資信託のことが書いてあるってことくらいしかしらない。それに難しそうでどこを見ればいいのかよくわからないんだよね。
目論見書の見方がわかないと投資信託も買えないのかな?
投資信託の「目論見書(もくろみしょ)」は、いわば投資信託の取扱い説明書です。投資信託の購入には欠かせないものと言われますが、いったい何が書かれていて、何をみればよいのでしょうか。目論見書の概要と見方のポイントを紹介します。
目論見書とは?
目論見書とは、投資信託商品の購入判断に必要な重要事項が記載されている書類で、「交付目論見書」と「請求目論見書」の2種類があります。
■交付目論見書
証券会社や銀行などの販売会社が、投資信託を購入しようとする投資家に交付しなければならないもので、投資にあたり知るべき基本的な事項が掲載されています。
■請求目論見書
投資家が請求したときに交付されるもので、有価証券届出書と同様の詳細な情報が記載されています。
目論見書はどのようなときに見るの?
投資信託に関するアンケート調査(一社 投資信託協会2020年)では、「老後の生活資金」「資産のリスク分散」「金銭的に余裕ある生活をするため」「金融・経済・投資の勉強のため」を目的として、投資信託の購入、検討をする方が増えているようです。
また、投資信託購入時の参考情報として、一番多い回答が「投資信託販売会社のHP」(32.8%)、次いで、「目論見書・運用報告書」(31.4%)を挙げています。
投資信託の購入を検討もしくは選択する際の参考材料のひとつが「目論見書」と言えます。
目論見書に掲載されている内容と確認するポイントは?
目論見書は一見すると難しそうですが、記載される項目や順序がすべて規則で細かく定められており、どの投資信託の目論見書も同じ構成で作成されています。そのため、目論見書の見方を理解しておけば、投資信託の内容確認や比較検討を容易に行うことができます。
交付目論見書では、まず表紙や裏表紙の部分に、商品分類が掲載されており、ファンド(投資信託)の概要がひと目でわかるようになっています。
記載項目ごとに、最低限チェックしておきたい内容や、リスクやコストの観点から特に注意して確認しておきたい点についてお伝えします。
1.ファンドの目的・特色
ファンドの基本方針や投資態度などについて、またファンドの仕組みや運用手法などの特色が記載されています。
<チェックポイント> ・どのような成果を目的として運用されるファンドか ・主な投資対象… どのような資産に投資しているのか ・ポートフォリオ(投資配分) ・ポートフォリオや構成銘柄の見直しに関する方針 ・収益分配方針 |
2. 投資のリスク
基準価額の変動要因やリスクへの管理体制などが記載されています。
<チェックポイント> ・基準価額の変動要因となるもの (価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、信用リスクなど) ・どのようなリスク管理体制か ・過去の騰落率のグラフ |
過去の騰落率のグラフなどから、特にマイナスに大きく振れている箇所に着目します。
あくまで過去の実績ですが、自分が取れるリスクの許容度を見極める参考となります。
3. 運用実績
基準価額や純資産総額の推移、分配金の推移、年間収益率の推移などが記載されています。
なお、一定期間の運用結果を知るためには、あわせて「運用報告書」で確認します。
<チェックポイント> ・基準価額や純資産総額の推移 ・分配金の推移 ・組入れ資産の内容や組入れ上位銘柄 ・年間収益率の推移 |
運用実績では、純資産総額の推移に着目します。投資信託を安定的かつ効果的に運用するには一定の規模が必要なため、少なくとも30億円以上のものを目安にするとよいでしょう。また、右肩下がりに減り続けているファンドは、避けた方が無難です。
また、分配金にも着目します。分配金が多ければ良いとは言い切れません。分配金が多く純資産総額や基準価額が下がり続けているファンドには注意が必要です。
分配金は、ファンドの投資資産の中から捻出するため、分配すると投資資産が減少し、それに伴い基準価額も下がります。毎月分配されるタイプのファンドもありますが、運用成果が運用資金に組み込まれて運用されるタイプの方が長期投資に向いているといえます。
4. 手続・手数料等
ファンドの購入・保有・換金(解約)に必要な情報や手数料・税金について記載されています。
<チェックポイント> ・ファンドの購入単位 ・換金時の受付日から支払いまでの所要日数や換金制限 ・信託期間と繰り上げ償還事由 ・購入時と換金時の費用 ・運用管理費用(信託報酬) |
ファンドの購入時・保有時・換金時におけるコストについても十分検討したいものです。購入時や換金時にはコストがかからないファンドもあり、ファンドや販売会社によってさまざまです。注意すべきは、保有時のコストである「信託報酬」です。目論見書には年率で表示されていますが、保有している間は日割りでファンドから差し引かれます。投資初心者であれば、複数のファンドを比較して、信託報酬が低めのファンドを選ぶことをおすすめします。
まとめ
目論見書は、掲載項目が定められており、各社とも工夫してわかりやすくまとめられています。近年では、販売会社や運用会社のウェブサイトで目論見書などの情報を閲覧できるようになり、また、販売会社からの目論見書の交付は、ダウンロードなどで代替されるようになりました。若い世代を中心に、取引時間の制約なく、比較的コストを抑えられるインターネット取引を選ぶ人が増えています。
必要な情報を得られる目論見書は、ポイントを押さえれば、投資信託の比較検討手段として活用することができます。
「○○ランキング」「おすすめ○○」などの評価やクチコミは客観的な情報として参考しつつ、投資信託を選ぶ際には、目論見書に目を通し、自分の投資の目的や方針に合っているかを見極め、投資判断を行うようにしましょう。