養育特例制度というものがあるらしい。
うちみたいに、育休を取得した場合に対象になるらしい。
出産、育児に関する支援があるのは助かるわよね。
会社員が出産や育児にともない休業した期間中は、条件を満たせば、社会保険から出産手当金・育児休業給付、社会保険料の免除などの経済的支援を受けられます。
これに対し、仕事復帰後に月々の収入が減った場合、将来の厚生年金受給額確保という経済的支援につながるのが「養育特例制度」です。
育児休業から同じ職場に復職した場合だけでなく転職した場合も対象となるため、ぜひ知っておきたい制度です。
制度のしくみや利用できるケースについて解説します。
産休や育休にかかわる社会保険料のしくみ
まず、産休や育休を取得した場合の社会保険料の適用のしくみについてみていきましょう。
厚生年金や健康保険の保険料は、例年4月から6月に支給された給与の平均額から標準報酬月額の等級をもとに決定され、9月以降翌年8月まで適用されます。
産休中や育休中の社会保険料は、全額免除されますが、保険料を納付したものとして取り扱われます。ただし、育休復帰後は、休業開始前と同水準の保険料が徴収されます。
短時間勤務や残業免除などで給与が減っている場合には、相対的に高い保険料を負担することになります。
このような場合、会社経由で申請することで、復帰後3か月目までの給与をもとに保険料が算定され、その翌月から改定後の保険料が適用されます。
※著者作成
「養育特例制度」ってどんな制度?
育休復帰後の改定により社会保険料の負担が軽くなること自体はメリットです。
しかし、老齢厚生年金は、加入全期間の標準報酬月額の平均額が年金の給付額に反映するため、将来の年金受給額が減るというデメリットが生じます。
その穴埋めをしてくれるのが「養育特例制度」です。
3歳未満の子を養育する期間中、各月の標準報酬月額が、養育を始めた月の前月と比べて低下した期間について、将来の年金額の計算上では、出産の前月の標準報酬月額が現在の標準報酬月額とみなされます。
「養育を始めた月」とは、一般的には出産月、養子の場合には養子となった月のことです。
たとえば、標準報酬月額30万円であった人が育児休業を取得し、復帰後は時短勤務により標準報酬月額が改定され、復帰の3か月後に24万円になったとします。
この場合、実際に徴収される厚生年金保険料は標準報酬月額24万円に対する保険料ですが、将来の老齢厚生年金の給付額の計算においては、養育期間中の標準報酬月額は30万円とみなされます。
※著者作成
なお、養育特例制度は、将来受け取る老齢厚生年金の額の計算のみに適用されるものであり、健康保険の標準報酬月額を補うものではありません。
したがって、ケガや病気で休業した場合に給付される傷病手当金の額は、実際の標準報酬月額をもとに計算されます。
「養育特例制度」は3歳未満の子を養育する人が幅広く利用可能
「養育特例制度」は、3歳未満の子を養育している人が、養育前と比べて標準報酬月額が下がったことが条件で、産休・育休の取得や養育する子が社会保険上の扶養であることは求められていません。
そのため、育休取得の有無にかかわらず、育児のために残業を減らすなどして標準報酬月額が低下した夫も利用することができます。
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また、子の養育を始める前に退職し、その後再び働き始めた際に、養育前と比べて標準報酬月額が下がった場合にも利用することができます。
この場合、子の養育を始める月の前月から1年以内の最後の標準報酬月額が、現在の標準報酬月額とみなされます。
手続きはどうすればいいの?
養育特例制度の手続きは、本人の申し出により会社経由で年金事務所に申出書を提出するのが原則です。
手続きには、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書や住民票の写しなどが必要となります。
育休復帰後にこの制度を利用する場合は、会社が制度の案内をしてくれるケースが多いと思われますが、退職した後に再就職や転職をした場合には、手続き漏れが無いよう注意が必要です。
さらに、申出書を提出した会社を退職して再就職や転職をした場合は、再度申し出が必要となります。
なお、申し出が遅れた場合でも、申し出た月の前月までの2年間までさかのぼって措置を受けることができます。
申し出の時点で退職している場合は、自ら年金事務所に申し出て手続きをすることになります。
まとめ
養育特例制度は、3歳未満の子を養育する期間中、報酬が減った場合でも将来の年金額に影響しないよう、養育前の報酬に応じた保険料を納付したとみなしてくれる制度です。
育休明けに短時間勤務で復職した人だけでなく、退職して再就職した人なども幅広く利用できます。
申し出が遅れた場合でも、2年間までさかのぼって措置を受けられるため、漏れなく手続きをするようにしましょう。