ワクワク家妻と凛ちゃんの会話
NISAの口座は一度開設したら変更できないと思っていたけど、変更できるの?
条件を満たせば変更できるわよ。期間が決まっているからいつでもいいわけじゃないけど。
今の証券会社だと買いたい投資信託扱ってないの。変更すれば買えるってことよね?
できるわよ。
NISAは、国の制度であるため、どの金融機関で口座を開設しても、しくみは共通です。ただし、対象となる金融商品や手数料、サービスは金融機関により異なります。NISA口座の金融機関変更は、年に1回に限り可能ですが、どのようなときに変更すればよいのでしょうか。NISA口座の変更のポイントや留意点について解説します。
NISA口座は金融機関によって何が違うの?
資産形成の手段として、税制優遇のあるNISAは活用したい制度です。金融庁の調査「NISA口座の利用状況調査(速報値)」によると、2021年12月時点で、NISAの利用者は、一般NISAが約1千2百万口座、つみたてNISAが約500万口座と年々増加しています。
投資限度額や非課税期間など制度としては、すべての取り扱う金融機関で共通ですが、投資対象となる金融商品や手数料、サービスは異なります。それぞれの金融機関では、NISA口座開設や保有資産の獲得をめざし、さまざまなサービスを展開しています。(下図参照)
NISA口座を変更した方がいいときは?
NISA口座の開設は1人につき1口座ですが、年に1回限り変更することができます。
金融機関が取り扱う金融商品やサービスは時代とともに変化し、投資家自身が金融機関に求めるものも変わるでしょう。ご自身の投資スタンスにあった商品ラインナップや使い勝手などメリットを十分受けられていない場合には、金融機関の変更も選択肢です。
どのような場合にNISA口座の変更を考えるかについて、運用実績や資産状況、それぞれの投資スタンスや価値観によりますが、金融機関の商品・サービスの観点からすると、
・今後は、株式への投資をメインと考えているため銀行から証券会社に変更したい。
・売買手数料が無料となる金融機関に変更したい。
・IPO(新規公開(上場)株式)に強い証券会社に変更したい。
・同じ投資をするなら、投資額に応じてポイント付与される金融サービスが魅力。
といったケースがあげられます。
NISA口座変更のメリットやデメリットは?
NISA口座の金融機関変更には、それぞれメリットとデメリットがあります。長期的な目線で比較検討したいものです。
【メリット】
・購入したい商品を取扱う金融機関への変更により投資先が明確になる
・自分に合ったサービスを受けられる
・使い勝手の良いポイントや特典を受けられる
【デメリット】
・複数の金融機関の口座を保有することになり、管理が煩雑になる
すでにNISA口座で買い付けた金融商品は、変更後のNISA口座に移管できず、非課税期間中は変更前のNISA口座で管理することになります。結果的に複数の金融機関の口座を保有することとなり、資産管理が煩雑になります。
・5年間の非課税期間終了後のロールオーバーができなくなる
一般NISAで買い付けた金融商品は、変更前のNISA口座で非課税期間満了まで保有可能ですが、ロールオーバーはできません。非課税メリットを受けるためには、期間内に売却する必要があります。売却しない場合は、期間終了後に自動的に課税口座に移管されます。
NISA口座変更の条件や手続きの留意点は?
NISA口座の変更は、変更したい年のまでに手続きをする必要があります。変更したい年にNISA口座での買い付けがないことが条件であるため、前年中(10月から12月末)に変更手続きをしておくことをおすすめします。また、投資信託の分配金再投資による購入も含むため注意が必要です。
たとえば、2023年のNISA口座を現在のA銀行からB証券に変更したい場合、変更できるのは2022年10月1日から2023年9月30日です。2022年12月までに変更できれば、2023年以降B証券で買付をスタートすることができます。変更したいと思いつつ年を越してしまい、1月の買付けがあると2023年の口座変更はできません。また、2023年1月に投資信託の分配金で自動的に再投資となった場合は、2023年にNISA口座での買い付けをしたことになり、NISA口座の変更はできません。
変更手続きは、まず、NISA口座を利用している金融機関から勘定廃止通知書または口座廃止通知書の交付を受けます。次に、変更したい金融機関でNISA口座の申込手続きを行います。手続きにかかる日数は金融機関によりますが、1か月程度かかることもあるため、早めの手続きをおすすめします。
まとめ
利用するNISA口座の金融機関は、商品やサービスが自分の投資スタイルに合わない場合には、変更することができます。口座の変更は、1年に1回限りであること、すでにNISA口座で買い付けた金融商品を移管できないため、頻繁に変更すると管理が煩雑になるなど注意点もあります。
金融機関によるキャンペーン特典に惑わされるケースもありますが、長期かつ多角的な視点で満足できる金融機関を選択しましょう。
なお、NISA制度は、2024年以降見直しが決定されており、2023年は現行制度が適用される最終年となる予定です。