ワクワク家 夫婦の会話
ハローワークで実施している教育訓練給付金って知ってる?
聞いたことあるわ。休職中の人が再就職のために資格を取ったりする制度でしょう?
それがね、現職でも使える制度なんだって。
現職でも使える制度なら、資格をとってスキルアップするとき使えるわね。
厚生労働省が毎年実施している能力開発基本調査によると、「主体的に職業生活設計(キャリアデザイン)を考えたい」と回答した人は、正社員では65.7%、正社員以外では47.7%を占めています(令和元年度調査結果)。「働き方改革」が進められるなか、自分自身のキャリアデザインについて考える必要がありそうです。
現在の仕事を続けながらスキルアップしたい人だけなく、失業中のためスキルアップして就業を目指したい人も、雇用保険に一定期間加入し要件に該当すれば、「教育訓練給付金」の対象となります。オトクにスキルアップするための制度について解説します。
「教育訓練給付金」とは?
雇用保険の「失業等給付」には、いわゆる「失業手当」のほか、働く人の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定や就職の促進を目的とした「教育訓練給付金」があります。対象の教育訓練を修了すると、所定の教育訓練給付金が支給されるというものです。キャリア形成の目的に応じた教育訓練の内容により、「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」に分けられます。
それぞれの内容について、具体的にみていきましょう。
「一般教育訓練」と「特定教育訓練」の教育訓練給付金は?
■「一般教育訓練給付金」
教育訓練給付制度のスタート時からあるのが、一般教育訓練給付金です。雇用保険に3年以上加入した人(初めて給付を受ける人は1年以上)が、対象の教育訓練を修了した場合、10万円を上限に受講費用の20%が給付されます。また、退職後でも、加入要件の3年を満たす人が1年以内に受講を開始すれば給付を受けられます。
受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタントが行うコンサルティングを受けた場合には、「キャリアコンサルティング費用」も、上限2万円まで支給対象となる費用に加算できます。
一般教育訓練給付の対象となる講座は約1万4000講座で、例えば、プログラミング・Webデザイナー・英語検定・医療・保育・介護・簿記など多岐にわたっています。
講座終了後は、修了証明書や受講費用を証明する書類などを添付し、1ヵ月以内に管轄のハローワークに申請します。
■「特定一般教育訓練給付金」
教育訓練のうち、速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つものは、令和元年の改正で創設された「特定一般教育訓練給付金」の対象となります。一般教育訓練給付金の2倍、つまり、40万円を上限に受講費用の40%が給付されます。
対象講座は、介護分野の実務研修(介護職員初任者研修、介護支援専門員など)、税理士などの士業資格の講座、情報関係のミドルレベルの講座、大型自動車運転免許などがあります。特定一般教育訓練給付金を受けるには、事前に、キャリアコンサルティングを経てジョブカードを作成し、受講開始1か月前までにハローワークでの手続きが必要です。講座終了後の手続きは、一般教育訓練給付と同様です。
「専門実践教育訓練」の教育給付金とは?
中長期的なキャリア形成に役立つ専門的で実践的な教育訓練は、「専門実践教育訓練給付金」の支給対象となり、更に手厚い給付となっています。
対象講座は、資格の取得に数年を要する専門性の高いものが多く、キャリアチェンジをも可能にする資格群といえます。医療・保健衛生関係では、看護師・助産師・保健師・介護福祉士・美容師・保育士・栄養士・歯科衛生士などがあります。その他では、情報関係のハイレベルの講座・キャリアコンサルタント・調理師・大学院の専門職学位課程などがあります。
雇用保険に3年以上加入した人(初めて給付を受ける人は2年以上)が、対象の教育訓練を受講・修了した場合、受講費用の50%が、受講期間中6か月ごとに年間40万円を限度に給付され、通算の上限は120万円です(※4年の修業年限が規定されている一定の要件に該当する教育訓練は、160万円が上限。)。事前に、キャリアコンサルティングを経てジョブカードを作成し、受講開始1か月前までにハローワークでの手続きが必要です。受講開始後は、6ヵ月ごとに申請手続きをします。
訓練を修了した人が資格を取得した際、雇用保険の対象となる就業をしているか、もしくは1年以内に雇用保険の対象となる就職をした場合、受講費用の20%が上乗せで給付されます。つまり、トータルでみると、受講費用の70%、上限額は年間56万円、通期で168万円の給付を受けられるのです(※4年の修業年限が規定されている一定の要件に該当する教育訓練は、224万円が上限。)。
受講中の失業期間は、期間限定で手当の給付も!
専門実践教育訓練は、初めて教育訓練を受ける45歳未満の人が、昼間通学制の訓練を受講しているなどで失業状態にある場合、失業給付の基本手当と同等の手当「教育訓練支援給付金」が給付されます。基本手当が優先されるため、基本手当の給付期間が満了となった後に給付されることになります。
この給付金は、令和4年3月31日までに訓練を開始した場合が対象となりますので注意が必要です。
対象講座の調べ方は?
「厚生労働大臣の指定」を受けたすべての教育訓練は、専用のシステムに掲載され、条件を設定して検索することができます。
・「教育訓練講座検索システム」
https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SCM/SCM101Scr02X/SCM101Scr02XInit.form
就業中の人が、現在の業務に関する分野でのスキルアップを目指すなら、勤務先の能力開発プログラムや福利厚生サービスに、外部教育機関が実施する「教育訓練給付」対象の講座があるか確認してみましょう。
まとめ
「東京しごとセンター」(東京都)のように自治体が設置している支援センターでは、就業中の方でも受けられるメニューが用意されています。今後のキャリアデザインが固まっていない場合には、キャリアセミナーや無料相談などを活用するのもお勧めです。自分のスキルやキャリアを客観視することで、新しい発見があるかもしれません。
スキルアップすることで理想のキャリアデザインや収入アップにつながり、公私ともに充実した生活を送りたいものですね。