知っておきたい会社員の休業補償~病気やケガで働けない場合の「傷病手当金」

保険

ワクワク家 夫婦の会話

骨折して長期間の入院をすることになってしまってごめんね。

早く良くなってね。

会社はしばらく休むことになるけど、傷病手当金があるから大丈夫だと思う。

傷病手当金について調べてみるね。

 

会社勤めをしている方が、病気やケガにより仕事を休む場合には、通常、有給休暇取得や欠勤扱いとなりますね。

傷病(病気やケガ)が長期化すると、治療費の負担が大きくなることに加えて、休業による収入減の可能性もあります。このような場合の公的な所得補償として「傷病手当金」があります。補償を受けるには申請が必要となるため、万一のときに慌てないよう、知識を身につけておきましょう。

 

医療費補助だけではない健康保険

 

健康保険には、医療機関を受診する際に支払う医療費が3割となる負担補助のほか、さまざまな給付があることをご存じですか。

 

例えば、医療費負担が著しく高額になったときは、所得に応じた自己負担限度額を超える額が「高額療養費」として支給されます。また、傷病により休業し、会社から給与が支給されない場合には「傷病手当金」が給付されます。

出産したときの「出産委育児一時金」や、出産による休業で給与が支給されない場合の「出産手当金」も、健康保険の給付です。

 

では、傷病により休業したときの補償「傷病手当金」について、もう少し詳しく見てみましょう。

傷病手当金の支給内容や支給条件は?

 

傷病手当金は、傷病により仕事ができず療養している間、1日ごとに、直近12ヵ月の「標準報酬月額」(健康保険で給与月額として設定されている額)を日額換算した金額の2/3が補償される給付です。例えば、以下のようになります。

 

支給期間は、連続して3日間休業した後、4日目から支給開始となり、最大1年6ヵ月です。なお、休業中も給与の支給を受けている場合は、給与の額が傷病手当金より少ないときに限り、差額が支給されます。

 

まとめると、以下のようになります。

*上記表は、概要をまとめたもので、すべてを網羅しているものではありません。

 

支給開始日について補足すると、例えば、2月1日にケガをして、2月1日~3日まで休んだ場合、休業4日目の2月4日から支給を受けることができます。休んだ3日間のうちに有給休暇の取得や公休日があっても、休業日数にカウントされます。

 

仕事に復帰できる見込みがなく、残念ながら仕事を辞めざるをえなくなる場合でも、支給開始から1年6ヵ月は傷病手当金を受け取ることができます。ただし、会社を辞める前に引き続き1年以上健康保険に加入していたことや、退職時に傷病手当金を受けていたことなどが条件となります。

 

他の社会保険給付との関係では、出産手当金や障害年金などの他の給付を受ける場合は、傷病手当金の支給額が調整されます。また、傷病が業務災害による場合は、労災保険からの給付が優先されます。

傷病手当金給付の現状は?

 

傷病手当金でどのくらいの期間補償を受けている人が多いのでしょうか。

「協会けんぽ」の令和元年度の傷病手当金受給者の状況では、女性の平均支給期間は、152.86日(約5ヵ月)となっています。

 

支給期間別の件数の割合をグラフにまとめてみました。

支給期間30日以下が 24.54%と最も高く、 31~60日が16.25%、 61~90日が10.99%となっており、90日までが全体の約5割を占めています。

 

 

傷病により休業が長期化した場合、収入が減った分は、傷病手当金の給付を受けられますが、それだけでは十分とは言えないのが現状かもしれません。

病気やケガに対する備えは

 

まずは、傷病手当金の上乗せ給付や延長給付がある健康保険や、勤務先の福利厚生で病気見舞金制度が設けられている場合がありますので、健康保険組合や勤務先の制度を確認してみましょう。

 

休業期間が長期化したとしても、生活に困らないよう、貯蓄や保険でカバーできるよう備えておきたいものです。緊急予備資金の準備としては、5~6ヵ月分の生活費が目安です。

また、家事を担っている方の傷病に備えて、家事代行などの利用料やサービスについても考慮しておくと、その時に慌てずに対応できるためおすすめです。

経済的な備えとともに、安心して治療に専念できる環境を「起こりうるリスク」として整えたいものです。