なごみ家 夫婦の会話
いろいろ物価が上がってお店も大変なのに、最近住宅ローンの金利が上がったって聞くの。うちの金利も上がったら、住宅ローンの返済額も上がるのかな?
変動金利は上がる可能性があるとは聞いたけど、ちょっと不安になるよね。
もし上がったら対策はないのかな?
国内メガバンクでの住宅ローン固定金利が上昇傾向です。こうした状況のなか、変動金利での住宅ローン返済中の方々から毎月の返済額や総返済額が増えてしまうのではという不安の声が聞かれます。固定金利と変動金利では全く別の指標を基準としており、金利決定の仕組みが異なるため、すぐに返済額が変わるものではありません。ただし、今後の金利上昇には備えておきたいものです。今回の記事では、契約の変更や借り換えなど返済中の住宅ローン金利引き上げへの対策について紹介します。
同じ銀行で借りたまま負担を減らす方法は?
住宅購入にあたって、住宅ローンを組む場合、基本的に、「固定金利」か「変動金利」を選択することになります。固定金利は、期間中の金利が一定であるため返済額が変わらず安心ですが、変動金利と比べると金利が高く設定されています。変動金利は、低い金利が魅力ですが、金利上昇時には返済額が増えるリスクがともないます。
金融機関の住宅ローン金利をみると、とくにネット系などでは、依然として低い金利での表示が目につきます。同じ銀行でも自分が借り入れた時の金利よりも表示されている低い金利で借り換えができれば、負担額が減るはずと思うかもしれません。ただし、大前提として、同じ銀行内で、同じ住宅ローンへの借り換えはできません。利用者にとって常に有利な条件の住宅ローンに更新できるとすると、銀行が得られる利益が減るためです。
例外として、現在契約している住宅ローンがフラット35であれば、同じ銀行内でも最新のフラット35に借り換えできるケースがあります。具体的な取り扱いについては、それぞれの銀行によりますので事前に確認しましょう。
同じ銀行であっても、借り換えでなく、以下のような「変更」であれば、金利が上がっても返済負担を減らすことは可能です。
・金利タイプを変更する
・繰り上げ返済により利息を減らす
・金利引き下げ交渉をする
借り換えではないため、手間もかからず、手数料無料のケースも珍しくありません。
【金利タイプの変更】
基本的に、いずれかのパターンで金利タイプを変更することが可能です。
・変動金利から固定期間選択型への変更
・固定期間選択型から変動金利への変更
返済額を減らすためには、金利が高く設定されている固定から変動への変更が考えられますが、将来的な金利上昇不安というリスクが生じることに注意が必要です。
【繰り上げ返済をする】
繰り上げ返済は、利息負担を軽減することで総支払額が減るため効果があります。
たとえば、以下の条件で住宅ローンを借りていて、金利が上がるタイミングに合わせて繰り上げ返済をしたとしましょう。
当初借入れ額:3000万円 期間:30年 元利均等返済 初回から10年目までは年1.20% 月返済額 99272円 11年目からは年1.50% 月返済額 102,028円 ※ボーナス返済なし 借り入れ後 10年0ヶ月経過時点 借入残高 21,172,662円 繰り上げ金額:300万円 |
シミュレーション結果は以下のようになります。
300万円を繰り上げ返済することで、当初支払う予定の利息が軽減できます。繰り上げ返済では、「返済期間の短縮」と「返済額の変更」のいずれかを選択することができます。返済期間を短縮するほうが利息の減少額は大きいのですが、毎月の家計負担を考えると、返済額変更でも利息の減少効果は見込めます。
【金利引き下げ交渉をする】
同じ銀行で同じ住宅ローンを利用し続ける場合、金利タイプの変更や繰り上げ返済ではなく、交渉によっても金利を引き下げが可能な場合もあります。銀行の立場からすれば、顧客が他の銀行に流出して、利息収入を得られなくなるよりも、金利を下げてでも以降の利息収入を継続できる方が得策と考えます。そのため、事前に準備をしたうえで銀行との交渉に臨めば、金利の引き下げに応じてくれるケースも多々あります。
具体的には、以下の手順で進めていきましょう。
1)借り換え先となる銀行を決め、事前審査に申込をする
2)現在住宅ローンを借りている銀行の担当者に、金利引き下げの交渉をする
3)結果によって、借り換えるか、そのまま同じ住宅ローンで続けるかを決める
実際に金利の引き下げに応じてくれるかは、銀行側の判断です。また、担当者が金利の引き下げを前提に話を進めてくれたとしても、「審査」に通過しなければ、実際に金利を引き下げてもらうことはできません。さらに、現在の契約を継続できなくなるリスクもある点を理解したうえで交渉に臨みましょう。
他の銀行に借り換えをするのも1つの手段
現在使っている銀行にこだわりがない場合は、他の銀行が提供する住宅ローンに借り換えるのも1つの方法です。
たとえば、以下の条件で住宅ローンを借りていたとしましょう。
当初借入れ額:3000万円 期間:35年 元利均等返済 借入金利:年1.85% 月返済額 97,085円 ※ボーナス返済なし 借り入れ後 10年0ヶ月経過時点 借入残高 2330万円 今後発生する利息負担額:582万円 総支払額:2912万円 |
ここから、他の銀行が提供する住宅ローン(変動)の金利が年0.8%であった場合、借り換えをすることで、毎月の返済額などは以下のように変化します。
借り換え額:2330万円 期間:25年 元利均等返済 借入金利:年0.8% 月返済額 85717円 ※ボーナス返済なし 利息負担額:241.5万円 総支払額:2572万円 |
借り換えることで、毎月の返済額及び総返済額が大幅に減らせます。
ただし、他の銀行の住宅ローンに借り換える際には、以下の点に注意しましょう。
・借り換え条件によっては、住宅ローン控除が受けられない
・事務手数料や登記などの諸費用を考慮する
・優遇金利が適用される場合は期間を確認しておく
・自動車ローンなど他のローンも組んでいる場合は先に完済しておく
・健康状態次第では団体信用生命保険の審査に通らない点に留意する
まとめ
住宅ローンを変動金利で借り入れている場合、金利が上がると、毎月の返済額は増えてしまいます。
まとまったお金が用意できるのであれば繰り上げ返済、健康状態や他のローンの残高の面から特に問題なさそうなら借り換え、いずれも難しい場合は金利タイプの変更など、状況に応じて引き下げる方法を考え、実行しましょう。迷う場合には、独立系ファイナンシャル・プランナーにアドバイスを仰ぐのも1つです。