住宅購入時は生命保険を見直すタイミング

住宅保険

ワクワク家 夫と妻の会話

会社の人が家を買ったから生命保険を見直したって言っていたんだ

家を買うときは生命保険を見直すタイミングなのかな?

そうだね、どういうことか気になるね

 

生命保険について「加入しているから安心」と思っていませんか?

加入中の保険の目的は何か、どんなときに保障されるのか、いつまで保障が続くのか、把握していますか?

保険金支払い対象外となる事例や無駄な保険料を払い続けているケースもみられます。人生の節目は、保険を見直すよい機会です。住宅購入時の生命保険見直し事例をもとに考えてみましょう。

住宅購入時に加入する団信

 

団信とは、団体信用生命保険の略称です。住宅はローンでの購入が一般的ですが、長期にわたる借入れであるため、貸す側にとってリスクとなります。

借りている人が死亡や高度障害、病気で働けず収入がなくなってしまった場合の「貸し倒れ」は避けたいものです。そのため、一般的に、貸し手である金融機関が契約者となり、被保険者(保険の対象となる人)が借り手、保険金受取人が金融機関(貸し手)という保険契約で、もしもの場合には、保険金により貸したお金を回収します。

 

一方、借りる側にとっては、ローン負担者に「もしものこと」が起きても、保険金で残りのローンは支払われるため返済を迫られることなく、引き続き、住み続けることが可能です。

万一の場合の「住まい」に関わるお金

 

生命保険を検討する際には、遺された遺族がこれまでどおりの生活を維持していくための備えとして「いくら必要なのか」を考えることが重要です。

 

日常生活費、住居費、教育費、老後資金などがありますが、家族の年齢や働き方によってそれぞれです。

「住まい」にかかわるお金は、賃貸なのか、持ち家かによって大きく変わってきます。

そういった意味で、住宅購入時は、保険を見直すタイミングでもあります。

保険の見直し事例 40歳男性 妻38歳(パート)子ども2人(中3、小6)

 

現在の保障

◆定期付き終身保険 (35歳時加入) 保険料10,800円

内訳)

主契約(終身保障)100万円 保険料2,000円

特約 

定期保障① 特定疾病特約 500万円 (45歳時更新)保険料2,300円

定期保障② 死亡・高度障害 2,500万円(45歳時更新)保険料6,500円

※死亡・高度障害の場合には、終身保障、定期保障①②をあわせて3,100万円。

定期保障①は、死亡だけでなく、特定疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞などにより所定の状態)となった場合に500万円が支払われる。治療費や収入補償としての備えとして有効。

◆医療(がん)保険 (35歳時加入45歳時更新85歳まで)

 入院日額1万円 がん一時金100万円 保険料8,500円

合計  1カ月あたり保険料 19,300円

 

万一の場合に受取る死亡保険金額は、3,100万円

子どもが18歳未満であれば遺族基礎年金を受給できますが、18歳になると大学費用など支出が増えるにもかかわらず、遺族年金の受給額が減ることになります。

 

持ち家でローン返済中の場合には、団信により住宅ローンの負担がなくなり、住まいにかかるお金は、維持管理費のみとなります。

 

現状の保険では、5年後に定期保障と医療保険の更新時期となります。

年齢が上がりリスクが高まることで、保険料の大幅アップが予測されます。

これまで無事に過ごせてきたことが何よりでしたが、遺族の住まいにかかる費用を考えると保障が少なすぎたとも言えます。必要となる保障額は、日常生活にかかる費用として考えます。

医療保険は、更新し続けたとしても85歳で保障が終了し、人生100年時代にむけて、長生きした場合に無保険となる可能性があります。入院時の本当に必要な時に必要な保障が受けられないことは避けたいですね。

 

見直し後

◇定期付終身保険の定期部分を解約し、終身保障のみ継続 100万円 保険料2,000円

新たに加入 

◆終身保険(非喫煙割引適用) 200万円 保険料3,800円

◆収入保障保険(払込免除特約あり)月額15万円55歳まで 保険料2,700円

◇医療(がん)保険は、これまでの保険を解約し、新しい保険に加入 

終身保障 払込み70歳まで 保険料9,300円

 入院日額5,000円 三大疾病一時金、がん診断一時金、がん通院、先進医療、払込免除特約あり  

合計  1カ月あたり保険料 17,800円

 

定期保険は、保障期間中の死亡保険金額が一定ですが、更新時期には年齢が上がることで保険料負担も大きくなります。その点、効率的に無駄を省いて設計されているのが「収入保障保険」です。「もしも」の場合には、期間中、約束された金額が毎月支払われます。加入時には期間が長いため死亡保険金額の総額は大きくなりますが、年齢の経過とともに総額は減少していきます。

 

加入後すぐに死亡した場合には、以降毎月15万円ずつ15年間にわたり合計2700万円の受取額になります。遺族年金や妻のパート収入を考慮しても、遺された家族がこれまで通りの生活を継続するためには月あたり約15万円が不足するというシミュレーション結果をもとに保険金額を設定しました。50歳時に死亡した場合には、5年間で合計900万円です。

保険料が安いことがメリットであり、遺族の生活費として考えると問題ないのではないでしょうか。

 

医療保険ですが、傷病手当金や高額療養費の給付を考えると、日額1万円は保険料負担を考慮して日額5,000円に下げました。その代わり、要件に応じて一時金で受け取ることのできる特約やがん通院特約を付加しました。三大疾病に該当した場合には、以降の払込みが免除される点も安心です。

生きている限り継続する保障(終身保障)、更新がないため保険料の変動がないこと、70歳で払込みが終了することが決め手となりました。本来であれば、60歳もしくは65歳で払込みを終えたいところですが、月々の保険料負担を考慮して、退職後もしばらくは頑張ることにしました。

思い立ったら、その時が見直しのタイミング

 

結果として、住宅購入がきっかけで保険を見直すことになりましたが、思い立った時が、見直しのタイミングです。

保障金額だけでなく、保障内容や払い込み方法についても検討しましょう。加入中の保険を確認したうえで、「このまま継続でよい」という場合も多くあります。

加入していることに意味があるのではなく、安心の保障があることに意味があるのです。

 

なお、教育資金と老後資金について、保険を活用することも考えられますが、上記事例については、つみたてNISAや確定拠出年金制度を活用して準備することにしました。

 

 

 

☆この記事を書いたのは...

 

      

大竹麻佐子

ファイナンシャル・プランナー CFP®、相続診断士、整理収納アドバイザー

 

証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て2015年FP事務所開業。相談・執筆・講師として活動中。

より豊かに自分らしく生きるためには、「お金と向き合うこと」が大切です。

知識だけでなく経験を踏まえたアドバイスとともに、全力でサポートします。