給付型奨学金、年収600万円までになるの?

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今日ニュースで給付型の奨学金の条件が緩和されるかもってきいたの。

そう簡単に誰でも対象になるのかな?

条件はあるらしいけど、可能性は広がったってことでしょ?少しでも負担が減るのは嬉しいわよね。

 

内閣府2020年度データでは大学への進学率は54.3%と2人に1人は大学へ進学する時代となりました。と言うものの、入学金や授業料など費用の負担は大きく、在学期間中の家計に占める学費の割合は相当なものです。

2020年から始まった「高等教育の就学支援新制度」により、年収380万円未満の世帯では返還の必要がない給付型奨学金を受けることができるようになりました。さらに、2024年度からはこの給付型奨学金の所得制限が、さらに緩和されることが検討されています。

 

大学進学にかかる費用はどのくらい?

 

大学の授業料は近年増加傾向にあります。年間の授業料を20年前と比較すると、以下の通り、国公立大学では約8%、私立大学では約17%高くなっています。

 

 

国公立大学(年間授業料)

私立大学授業料(年間授業料)

2001年度

約49.7万円

約79.9万円

2021年度

約53.6万円

約93.1万円

上昇率

+7.8%

+16.5%

参考:文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移

 

授業料に加え、大学在学中は施設費、教材費、通学にかかる交通費、遠方の大学に通う場合には一人暮らしの費用も必要となります。

 

2020年度の日本学生支援機構の調査によると、返済が必要な貸与型奨学金を含め奨学金制度を利用している大学生は全体の49.6%にのぼっています。つまり、半数近い大学生が奨学金制度を利用している現状です。

参考:令和2年度学生生活調査結果(調査結果の概要等) (jasso.go.jp)

 

一方で、経済的事情により進学を諦めるケースも一定数みられます。貸与型奨学金だけでなく、給付型奨学金の対象者が増えれば、経済的な負担がより軽減され、安心して学業に専念できるでしょう。

 

給付型奨学金の所得制限が年収600万円まで条件緩和される

 

給付型奨学金を受けるためには所得制限があります。

2023年現在の制度では、給付型奨学金の対象者は、

  • 住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯
  • 学ぶ意欲がある

この2点の要件を満たす必要があります。

 

たとえば、父(給与所得者)、母(専業主婦)、子(18歳、15歳)の4人家族の場合、世帯年収約380万円未満が対象です。給付額は収入に応じて、第1区分から第3区分の3段階に分けられます。私立大学(自宅外通学)の場合、年収約270万円未満の住民税非課税世帯(第1区分)であれば、年間約91万円(月額7万5800円)の奨学金を受けることができます。年収約300万円未満(第2区分)では給付額は2/3となり約61万円、年収約380万円未満(第3区分)では1/3の約30万円と段階的に給付額は減り、年収約380万円以上の世帯では貸与型奨学金しか利用することができません。

※実際は、世帯収入は年収ではなく、住民税を算出する情報をもとに「支給額算定基準額」で審査されます。

 

2020年の改正で対象が拡大されたとは言え、まだまだハードルは高いのが現状です。

そこで、2024年度から改正される新制度では、以下のように条件が緩和されます。

 

※文部科学省 奨学金事業の充実「安心してこどもを産み育てられるための奨学金制度の改正」より抜粋

 

【多子世帯支援】世帯年収約380万円~600万円かつ扶養する子どもが3人以上世帯

➤全額支援の1/4支援(約40万円)

【理工農系支援】世帯年収約380万円~600万円かつ私立の理工農学部に通う世帯

➤人文社会科学系学部との授業料の差額を支援

子育て支援等の観点から「多子世帯への支援」と文系に比べると学費のかかる「理工農系学部に通う学生への支援」が拡大したことが注目される点です。

 

ただし、注意すべきポイントがあります。子どもが3人という多子世帯の要件を満たしていても、1人でも社会人となり扶養を外れると給付対象外となります。また、理工農学部の対象となる具体的な学部や学科は、2023年8月末頃に文部科学省から公表される予定です。

 

給付型奨学金を申し込むタイミングと手続き方法

 

新制度の対象となるのは、2024年度入学の学生と2024年4月時点で大学に在学中の学生です。世帯年収約380万円~600万円の区分の対象者は、2024年4月入学以降に大学を通じて申し込みとなり、入学前年から申請できる現行制度のスケジュールとは異なるので注意が必要です。

 

日本学生支援機構の奨学金は、原則決められた期間以外に申請をすることはできないため、案内を見落とさないようにしましょう。手続きは大学の窓口で申込関連書類を受け取り日本学生支援機構へ申し込みます。審査の結果は、学校を通じて通知されます。

 

給付型奨学金の対象となるか、奨学金を受けられる金額の目安は、日本学生支援機構の進学資金シミュレーターで事前に確認することができます。

進学資金シミュレーター | JASSO

 

まとめ

 

今回の改正により、これまで経済的理由で大学進学を断念していた学生にとって、進学への道が拓けるケースが多くあるでしょう。扶養する子の数や学部が限定されるなど、未だ給付型奨学金のハードルは高いものの、学ぶ意欲のある子どもたちへの選択肢は着実に広がりつつあります。給付型奨学金の今後の動きに情報収集のアンテナを張り、上手に制度を活用してほしいと思います。