私、結婚して子どもが産まれてもずっと仕事は続けようと思っているけど、保育料が高いって聞くの。
共働きの場合、2人の所得で考慮されるから高めになることは多いわよ。でも知っていれば少しは保育料を抑えることができる方法があるわよ。
そんな方法があるなら教えて!
子どもが保育園に入園したけれど、保育料の高さに驚く人も少なくありません。
負担する保育料の算定には、夫婦の所得のほか所得控除も考慮されます。ということは、所得控除のなかには保育料を抑えるために活用できるものがありそうです。
そこで今回は、保育料を抑える方法について解説します。
保育料はどうやって決まるの?
2019年10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」によって、3歳児・4歳児・5歳児クラスの保育料は無料(※)になりました。
しかし、0歳児・1歳児・2歳児クラスでは保育料がかかります。
(※)3歳児~5歳児クラスの保育料
・幼稚園、保育所、認定こども園等は無料
・認可外保育施設等は、月額3.7万円までの利用料が無料
保育料は、国が定めた上限額の範囲内で、各自治体が決めることになっています。保護者が負担する保育料は、世帯の住民税所得割額をもとに算定され、該当する区分にしたがって決定します。
住民税は、前年の所得によりますが、保育料に反映される住民税所得割額は毎年9月に見直されます。
そのため、4月~8月の保育料は、前々年の所得、そして9月~翌年3月の保育料は、前年の所得をもとに決まります。
では、住民税所得割額はどのように計算するのでしょうか?
ここでは、会社員の住民税所得割額の計算方法をご紹介します。
(1)課税所得金額を求める
前年の年収-給与所得控除=給与所得
給与所得-所得控除=課税所得金額
(2)住民税所得割額を求める
課税所得金額×税率(市町村民税所得割「6%」)=住民税所得割額
基本的に、自治体では、上記で求めた住民税所得割額に応じた保育料区分を設定しています。それぞれの自治体により異なるケースもあります。
また、兄弟姉妹が同時に保育園へ通う場合、2人目の保育料は半額に、3人目以降は無料になる場合もあります。
詳しくは、お住まいの自治体ホームページ等でご確認ください。
保育料を抑えるための方法とは?
保育料のもととなる課税所得金額を計算する際、所得金額から所得控除を差し引くことができます。その所得控除には、基礎控除・配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・社会保険料控除・医療費控除・雑損控除・小規模企業共済等掛金控除などがあります。
これらの所得控除を利用することで、課税所得金額が下がり、結果として保育料を軽減することができます。
なかでも以下の2つは、保育料を抑えるため利用できる控除です。
〇小規模企業共済等掛金控除
iDeCoでは、掛金全部が小規模企業共済等掛金控除の対象になります。iDeCoに加入することで、老後資金の準備だけでなく、所得控除により課税所得金額を減らすことができるのです。
ただし、iDeCoの加入タイミングには注意したいです。4月~8月の保育料は前々年の所得が反映し、9月~翌年3月の保育料は前年の所得が反映します。
つまり、iDeCoの掛金による所得控除適用で4月からの保育料軽減をめざすのであれば、その2年前に加入していなければいけないということです。
〇社会保険料控除
会社員の場合、社会保険料は給与から差し引かれ、年末調整で処理されるため、「社会保険料控除」は関係ないと思われるかもしれません。
ただし、学生時代に「学生納付特例制度」を利用した場合には、追納することで納付した額が社会保険料として所得控除の対象となります。
国民年金保険料は10年以内であれば追納できます。学生時代に学生納付特例制度を利用した人は、その期間分の老齢基礎年金が減額されるので、追納した方がお得です。
そこで、子どもが保育園に入るタイミングを考えて追納できれば、将来の年金を増やせるだけでなく、保育料も抑えることができます。
国民年金を追納したら、忘れず年末調整で手続きをしましょう。
保育料の算出に影響しない控除
住民税を軽減することのできる控除であっても、保育料の算定に入れることができないものがあります。
たとえば、
・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
・寄付金税額控除(ふるさと納税)
・配当控除
・外国税額控除 などです。
住民税負担の軽減として、ふるさと納税をする人は少なくありません。
ただし、保育料の算定にあたっては、ふるさと納税は反映されないため注意が必要です。
また、住宅ローン控除も同様です。
まとめ
0歳児から2歳児クラスの保育料は、世帯の住民税所得割額に応じて決まります。
住民税所得割額の計算には所得控除が反映されるため、iDeCoへの加入による小規模企業共済等掛金控除や、国民年金保険料の追納による社会保険料控除の適用で保育料を抑えることができます。
ただし、保育料は4月~8月の保育料は前々年の所得が、9月~翌年3月の保育料は前年の所得が反映されるため、所得控除が適用されるタイミングをふまえて検討するようにしましょう。