就業不能保険って、どんな保険?

保険

ワクワク兄家 夫婦の会話

部長が、病気のために長期の休職になってしまったんだ。

部長さんのお子さん、私立中学じゃなかった?

私立中学と私立高校に行っているよ。

お体のことも心配だけど、お金も心配よね。何か補償はないのかしら?

 

保険にはさまざまな種類のものがありますが、その中の1つに「就業不能保険」があります。これはどのような保険で、どのようなリスクに対応できるものなのでしょうか?今回は、就業不能保険について、その保障内容や医療保険との違い、保険を選ぶときに確認しておきたいことをわかりやすく解説します。

 

就業不能保険とはどんな保険?

 

「就業不能保険」は、病気やケガで長期間働けなくなったときの収入減のリスクに備える保険です。長期入院や所定の障害状態、要介護状態となり、長期にわたり働けなくなった場合、給料と同じように毎月「就業不能給付金」が支払われます。保険商品によっては、一時金で支払われるものもあります。また、病気やケガによる入院や医師の指示による在宅療養だけでなく、うつ病などの精神疾患によって働けなくなった場合に保障が受けられるものもあります。

 

ただし、就業不能保険は働けない状態になってからすぐに給付金が受けられるわけではありません。60日間や180日間の支払対象外期間が設定されており、給付金は支払対象外期間を過ぎた日から受け取れるようになります。

 

就業不能保険と医療保険の違いは?

 

就業不能保険と医療保険は、どちらも病気やケガによるリスクに備えるという点で一致するため、医療保険に入っていれば入院費用などが補てんされるので大丈夫と考える人も少なくありません。

 

けれども、この2つの保険は保障の対象になるものが異なっています。

就業不能保険は、病気やケガなどが原因で長期間働けなくなった場合の収入減リスクに対応するものです。収入が大幅に減ったときの生活費をカバーしてくれます。

一方で、医療保険は病気やケガによる入院費や手術などの治療費をカバーしてくれるものです。基本的に、医療費の保障はあっても、生活費は保障されません。

 

また、就業不能保険は、支払対象外期間(60日・180日)を超えて働けない状態が続かないと保障は受けられませんが、入院が長期となった場合に対応しています。

一方で、医療保険には、入院給付金の入院日数に上限があります。入院日数の上限は60日、120日が主流ですが、保険商品によっては30日、180日、360日、730日、1095日のものもあります。ただ入院日数の上限が多くなるよう設定して保険に加入しても、その間の生活費の保障がないことは頭に入れておきたい点です。

 

以上のように、就業不能保険は長期間働けないときの収入減による生活費をカバーするもので、医療保険は入院費用や手術代など治療費をカバーするものという違いがあることを覚えておきたいものです。

 

就業不能保険を選ぶときに確認しておきたいこと

 

就業不能保険に加入する際に確認しておきたいことが2つあります。それは、「保険の対象」と「公的保障」についてです。それぞれ、どのような点を確認したらよいのか解説します。

 

(1)就業不能状態の条件を確認する

就業不能保険は、商品により給付基準となる「就業不能状態」の条件が異なります。

保険商品の以下の点を確認しておきましょう。

 

・病気やケガで長期入院したとき

 …入院という事実があれば給付対象となるのか。入院日数の規定、在宅療養の可否など

・医師の指導により、病気やケガで長期間自宅療養が必要なとき

・公的年金の障害等級1級または2級に認定されたとき

・うつ病など精神疾患による治療目的であるとき など

 

保険会社や保険商品により、上記の条件のうち、「いずれか」で該当するケースのほか、「○○かつ△△」など複数の項目を満たした場合など基準はさまざまです。また、自分はどのような場合の保障が欲しいのかを検討し、商品内容をよく確認したうえで加入することをおすすめします。

 

(2)公的保障があることを確認する

病気やケガなどで生活に支障が出たり、働けなくなったりした場合に受け取れる公的年金や公的保障があります。

 

・障害基礎年金

国民年金の加入者、20歳前、60歳以上65歳未満の人が障害等級1級または2級に認定されたときに受け取れる公的年金です。

 

・障害厚生年金

会社員や公務員など厚生年金に加入している人が障害等級1級・2級、あるいは3級に認定されたときに受け取れる公的年金です。障害基礎年金を受け取れる人は障害厚生年金もあわせて受給できます。

 

・傷病手当金

厚生年金の加入者が、病気やケガによる休職で十分な給与が支給されないとき、報酬の3分の2に相当する額が通算で1年6カ月支給されるものです。これにより働けない期間の生活費を補てんできます。

 

会社員や公務員の場合は、障害基礎年金だけでなく、障害厚生年金や傷病手当金を受給できるなど公的保障が充実していることから、不足する分を就業不能保険で補てんするのも1つの方法です。その際は、公的年金を受給できる期間を考え、給付額を月々どれくらい受け取れば安心できるかを考えるとよいでしょう。

 

自営業者やフリーランスの人は、公的年金が障害基礎年金しかありません。生活を維持するために必要な給付額を就業不能保険で備えることができれば安心です。

 

いずれにしても、給付額が大きくなると、その分保険料も高くなるので、家計の収支バランスをチェックすることが大切です。

 

まとめ

 

就業不能保険とは、病気やケガで長期間働けなくなったときの収入減のリスクに備えることができる保険です。60日・180日の支払対象外期間が設定されており、働けない期間が支払対象外期間を超えたときに就業不能給付金を受け取れます。保険商品によっては病気やケガ、障害等級1級または2級に認定されるなどの他、うつ病などの精神疾患も保障してくれるものもあります。就業不能保険への加入を検討されるときは、就業不能状態の条件を確認し、自分の欲しい保障内容と照らし合わせたうえで決めることをおすすめします。