ワクワク家 夫婦の会話
家を買うなら実家の両親が援助してくれるって言ってる。
とてもありがたい話よね。でも援助してもらったらそれは贈与になるんじゃない?
え、親からの援助なのに贈与税がかかるの?詳しく調べてみよう。
人生の三大資金といわれるのが「教育資金」「住宅資金」「老後資金」です。そろそろ住宅を手に入れたい…と思っても手軽に購入できる金額ではなく、今後のライフプランとともに検討する必要があります。そんな時、親からの援助が得られるならば、とても有難いものです。ただし、気になるのは「税金」ではないでしょうか。親から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度について紹介します。
親から受け取ったお金が非課税になる制度
住宅購入を考える際、物件価格について多くの方が悩みます。ほかにもエリアや間取り、設備など検討すべきことはさまざまです。モデルルームや内覧などに行くと、夢は広がり、気づけば予算よりも数百万円オーバーしていたという事例もあります。多くの場合、住宅購入はローンを組むことになります。今の生活スタイルであれば問題ない月返済額であっても、子どもの教育費や親の介護などと重なると、家計破綻に繋がるリスクもあることを知っておきたいものです。また最大35年という長期にわたる借入れは、低金利とはいえ、負担する利息は大きな金額となります。
参考までに、4000万円の借入れ35年金利1%であれば、月負担額は11万3000円(ボーナス返済なし)で総支払額4742万4000円、うち利息は742万4000円にもなります。
定年までに完済できればよいのですが、購入の年齢によっては、退職後も住宅ローンを払い続ける前提でローンを組むことも多いのが現状です。また住宅ローンに追われ、何のために働いているのかわからなくなるといったケースも散見されるため、住宅購入にあたっては、長期的視野で慎重に検討したいものです。
住宅購入にむけた資金計画のなかで、もし親や祖父母から援助が得られるのであれば、とてもあり難いことですね。本来であれば、個人から贈与を受ける場合には、「贈与税」という税金がかかりますが、要件をみたせば、非課税となる制度があります。
「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例制度」のほか、「暦年贈与」「相続時精算課税制度」など制度を理解したうえで上手に活用したいものです。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度
直系尊属(親や祖父母)からの贈与により住宅取得資金を取得した場合において、一定の要件をみたす時には、限度額までの金額について贈与税が非課税となります。度々の限度額や要件に変更を経て、当初2021年末までとされていた特例制度ですが、2023年末まで延長されました。
【贈与を受ける人の要件】
・贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること
・贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された資金全額を充てて居住用の家屋を取得すること
・2014年以前において、旧非課税制度の適用を受けたことがないことなど
【取得物件の要件】
・床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が居住用であること
非課税限度額は、省エネ等住宅かどうか、構造による築年数、対価に消費税10%が含まれる契約かどうかなどにより異なります。
非課税の特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月13日までの間に、戸籍の謄本、取得物件の契約書の写しなどとともに申告書を税務署に提出する必要があります。
暦年課税制度
聞いたことがあるという方も多いかもしれません。住宅取得資金に限るものではなく、年間で110万円までの贈与であれば税金がかかりません。基本的に申告は不要とされています。
相続が発生した場合に、住宅資金援助を受けた兄と受けていない弟との間で「争族」となるケースも多いため、毎年非課税の範囲内で親から子に平等に贈与をするパターンなどが考えられます。受け取った資金を繰り上げ返済に充てることで、完済までの期間の短縮や返済額の減額などが可能ですね。
相続時精算課税選択の特例
原則として60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫への贈与に対して選択できる贈与税の制度です。一定の要件を満たせば2500万円までの贈与が非課税となります。ただし、贈与時に課税されないだけで、相続発生時には遡って相続税が課税されます。一般的に贈与税の税率の方が高いため有効な場合もありますが、申告の必要性や一度選択すると取り消せない、110万円の非課税制度が使えないなどデメリットも多いため注意が必要です。
まとめ
住宅購入の際に親や祖父母からの資金援助が得られれば、住宅ローンの組み方や物件選びの幅も広がり、その後のライフプランに余裕ができるでしょう。とても有難いことです。
ただし、適用の要件や申告については、年度ごとに制度の改正が繰り返されるため、きちんと理解し行動する必要がありそうです。上限額にかかわる物件の構造などについては、販売担当者への確認が必要です。基本的には、「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」が第1順位ですが、贈与することで親の生活に支障があっては本末転倒です。贈与する側、贈与される側のそれぞれの立場で最適と思われる制度と金額を話し合いたいものです。
くれぐれも、正確に期限内の申告は忘れずにするようにしましょう。