ワクワク家 兄夫婦の会話
給料が上がって1000万円を超えたら、もう少し貯金が増えるんだけどな。
それがそうでもないらしいのよ。税金も高いし、手当てや補助の対象にもならないみたいだし。思うように貯金できないって言ってたわよ。
年収500万円の世帯からすると、年収が1000万円あれば貯蓄も2倍できるはず…と思いがちですが、実際には、年収と貯蓄額は比例しないものです。一方で、年収にかかわらず、コツコツと資産形成を実現できている世帯も多いのが現状です。ではなぜ、年収アップとともに貯蓄できる金額がアップしないのでしょうか。実際の手取り額の違いやお金に対する「意識」、そして貯蓄のできる家計への改善方法について考えてみましょう。
世帯年収1000万円は高収入?の誤解
年収が2倍になれば、使えるお金が2倍になるというのは誤りです。年収と社会保険料や税金が差し引かれた後に受け取れる金額(可処分所得といいます)には、差があります。
家族構成や年齢などにもよりますが、たとえば、年収500万円の場合の手取り金額は390万円程度、年収1000万円の場合の手取りは約750万円程度でしょう。
じつは、日本国内では、税金額の計算に「累進課税制度」を採用しています。これは、計算のもととなる課税所得金額が高いほど税率が高くなるしくみで、収入が多ければ、税金を多く負担する余裕があるはずという前提で税率が定められています。厚生年金保険料には上限額があるものの、健康保険料(介護保険料)についてもいずれも収入があがると、負担も多くなります。上記の例でいえば、年収500万円の場合の負担は約20%であるのに対し、年収1000万円は約25%と負担が大きくなります。
年収がアップしても手取りは増えた気がしないと嘆く声が聞かれるのは、社会保険料や税金の負担が増すことが理由なのです。
年収1000万円世帯の支出傾向
それぞれの価値観や環境にもよりますが、収入が上がるにつれ、日常生活費や住まいにかける費用など支出が多くなる傾向にあります。広い間取りの家への引っ越しや車の購入など生活スタイルが変わるケースもあります。
収入アップは努力と経験の成果と考えると、決して否定することではありませんが、これまで決められた予算内で家計管理ができていたにもかかわらず、使途不明金が増え、なんとなく使ってしまっているという「気の緩み」が散見されるのは残念なことです。
もちろん、これまで通り、きちんと家計管理ができている世帯も多いことは言うまでもありません。
貯蓄体質になる3つのコツ
意識して貯蓄しないと年収1000万円でもお金は貯まりません。逆に年収が200万円でもコツコツ貯金をしている人もいます。ここでは、「貯蓄体質」になる3つのコツをおさえておきましょう。
① 先取り貯蓄の実践
毎月給料を受け取ったら生活費やレジャー費として使い、あまったお金を貯蓄に回すのではなく、まずは貯蓄分を振り分けることから始めましょう。積み立てなど一定額を先に貯蓄し、残った金額で生活します。つまり、貯蓄の仕組みをつくることで、無理なく資産形成が可能になります。
②固定費を見直す
無理な節約をする必要はありません。適正な予算の範囲内で快適に生活できるよう現状把握をすることです。まず「固定費」を見直すことがポイントです。家賃、光熱費、保険料などの固定支出がおさえられれば、月あたりでの効果は継続します。
大きく生活水準を落とす必要はありませんが、不必要だと感じたものは解約や処分をして本当に必要なものを見極めたいものです。
③クレジットカード払いは計画的に
財布に現金がなくても、購入することのできるクレジットカードを無意識に使っていませんか。キャッシュレス化がすすみ、お金に対する意識が薄れている傾向があります。欲しいと思ってもいったん時間をおいてみるなど、意識することで「ムリ・ムラ・ムダ」がなくなります。ショッピングの実績や年収が上がると、クレジットカードの上限額が上がることがあります。信用度が増すことは喜ばしいことですが、「使える」金額と「使う」金額の区別をつけましょう。
まとめ
ひと昔前のように、年齢が上がれば自動的に収入が増える時代ではなくなりました。年収アップは、それなりの努力と成果の証ともいえます。責任も精神的ストレスも増えることでしょう。その一方で社会保険料や税金といった社会的負担が増え、思ったほど生活がラクになるものではないのも事実です。
「やりたいことの実現」には投資として、お金をつかうことも必要です。ただし、お金に対して向き合うという姿勢は、いつでも変えずにいたいものです。家計の定期的な見直しをしつつ、意識をもって継続していきましょう。「今」の生活を維持することと、「将来」にむけて長期的視野でライフプランを考えることに、とても意味があります。