ワクワク家妻と妹の会話
会社の友人が夢を叶えるために退職するらしいの。
やりたいこと、夢があるって素晴らしいね。
でも、会社をやめるとき、いろいろ手続きが必要でしょ?自分でやらないといけないこともあるみたいだし。
期限がきまっているものもあるからしっかり確認しておかないとね。
子どもの頃に描いていた「なりたい職業」を覚えていますか。いつの間にか忘れてしまうことや、成長とともに夢で終わらせてしまうことがあります。一度きりの人生を存分に「自分らしく」生きることには大賛成です。ただし、何事も「やみくもに」スタートすると、後悔や時間を浪費することになりかねません。ここでは、退職時に押さえておきたい手続きのポイントをお伝えします。
ある日思い出した子どもの頃の夢「先生になりたい。」
不動産会社に就職して6年、営業の仕事にも慣れ、とくに不満もなくこれまで生活してきたAさんは、ある日突然思い出したようです。
「小学校時代の担任が、理想の大人でした。授業はもちろん、休み時間や放課後も親身に接してくれ、たくさんの気づきを与えてくれました。大学時代は教職課程を選択したものの、なんとなく就職してこれまで忘れていたけど、やっぱり先生を目指したい。後悔したくないので、独身のうちにチャレンジしたいと考えています。」
というAさんは、夢の実現に向けて退職を決意したようです。
採用試験に向けた準備はご自身で進めるとして、生活面とくに「お金」の観点から検討すべきポイント、選択肢について考えてみましょう。
退職後の生活費について
これまでは、毎月の給与収入があり、そのなかから家賃、交通費、携帯などの通信費、レジャー費といった支出をしても、貯蓄ができていました。本来であれば、退職までを計画的に検討し、十分な生活資金を確保したいところですが、Aさんのように、20代のうちにチャレンジしたいというケースも多くみられます。資金不足で生活を維持するためには、アルバイトなどで補填する必要もありそうです。
採用までの期間や不合格だった場合の再チャレンジの期限などを設けるのもひとつかもしれません。
退職後の社会保険
一般的に、次の転職先が決まっていて空白期間がない場合には、退職時に受け取った資格喪失証明書を新しい会社に提出することで手続きされます。
空白期間がある場合やAさんのように予測できない場合には、資格喪失証明書や年金手帳などを持参のうえ、お住まいの自治体で手続きが必要です。
■健康保険はどうしたらいい?
会社を退職したあとの健康保険には選択肢が2つあります。
選択肢1 国民健康保険へ加入する
これまでの保険証は退職とともに使用できなくなります。ケガや病気に備え、国民健康保険への切り替えが必要です。市区町村が運営する国民健康保険は、前年度の所得に応じて保険料が決定します。自治体ホームページでおおまかな保険料をシミュレーションできる場合もありますので活用してみましょう。
選択肢2 任意継続被保険者制度を利用する
在職時に加入していた健康保険組合に、退職後も最長2年間継続して加入できる制度です。これまで掛金は会社と半分ずつ負担していましたが、任意継続では全額を負担する必要があるため、これまでの2倍の保険料となります。離職日の翌日から20日以内に加入していた健康保険組合へ申請しなければならず、期限には注意が必要です。
■国民年金への加入
会社員であったときには、第2号被保険者として、国民年金と厚生年金に加入し給与から年金保険料が天引きされていました。しかし、退職後は第1号被保険者として国民年金保険料を払う必要があります。2021年度の保険料は、月あたり1万6610円です。
収入が大きく減ることで保険料の支払いが困難である場合には、申請をすることで、全額もしくは一部免除となる場合もあります。ただし、将来受け取る年金額が減ることになりますので、可能な限り納付したいものです。公的年金制度は65歳以降の老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金も納付状況に影響します。くれぐれも未納のまま放置しないようにしましょう。
■雇用保険(失業手当)は、積極的に求職活動を行っている場合に受け取れる
雇用保険の被保険者であった会社員が離職後に生活を心配することなく、就職活動ができるよう支給されるのが失業手当です。「働く意思がある」「求職活動をしている」という要件を満たす必要があります。退職後の収入として失業手当をあてにするケースも見受けられますが、注意が必要です。
■企業型確定拠出年金の残高がある場合
個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換や要件により脱退一時金の請求などの選択肢があります。6ヵ月以上放置した場合、自動的に国民年金基金連合会に移換され、運用することなく毎月手数料が差し引かれることになるため、早めに手続きをしましょう。
■翌年の確定申告と住民税の支払い
その年の途中で退職した場合には、勤務先での年末調整を受けることができないため、翌年の確定申告が必要です。所得控除をふまえた税の再計算を行うため、払った税金が還付されるケースが多いでしょう。
また、住民税については、退職時に精算もしくは退職後に分割して支払うこと、また、退職した翌年に前年の所得に対して課税されることから、納付する資金を準備しておきたいものです。
まとめ
一度しかない人生ですので、チャレンジし続けたいですし、タイミングは逃さないようにしたいものです。ただし、選択したことで生活が困窮しては本末転倒です。お金と向き合うこと、制度やしくみを知ることも大切です。さまざまな選択肢のなかから、自分にとってよいと思われる選択をしたいですね。