お金について向き合おうとする人が増えています。テレビCMやSNSなどで「家計見直し」や「資産形成」というキーワードが発信されていることもあり、ファイナンシャルプランナーやファイナンシャルプランニングに対する認知度が上がってきたと実感しています。それでも、必要とする人が、どこで誰に相談してよいかわからない、という声があることも事実です。そこで、なぜ、お金について考える必要があるのか、考えることで何が変わるのか、についてお話しましょう。
「貯蓄から投資へ」って言われても?
昭和、平成、令和と時代が変わり、これまでの認識が通用しなくなっています。銀行や郵便局に預けておけば、利息が利息を生み、残高が増えた時代「パブル時代」は、1990年代前半の30年近く前の話です。世界情勢や日本経済、働き方や平均寿命など大きく変わっています。
「生きにくい時代」とも言えます。何もしなくても、なんとかなる時代ではありません。
「多様性」を認める社会となり、「モデルプラン」と言われる「会社員の夫、専業主婦の妻、子ども2人」という設定に疑問を持つことが増えてきている気がします。
そんな時代だからこそ、将来について考える必要がありそうです。
「銀行に預けておいても増えないので、投資を始めたい。」
「投資を始めたいが、何から始めたらよいのかわからない。」
「iDeCoやNISAに興味あるのですが、どっちがいい?」
「投資は怖いイメージですが、それでも始めるべきですか?」
という相談をお受けします。
確かに、銀行の普通預金金利は、0.001%(2020年8月11日みずほ銀行)と超低金利状態が続いています。100万円を1年間預けて10円の利息、更に20.315%の税金が差し引かれます。
金融庁は、「貯蓄から投資へ」のキャッチフレーズで国民に「投資」を促しましたが、浸透せず「貯蓄から資産形成へ」に変わっています。「投資は危険」とか「投資は怖い」といったイメージが先行するようです。
まずは「なぜ」貯蓄でなく投資なのか、を知ることです。基本的な制度やしくみを理解したうえで、自分にあっているやり方で少しずつ慣れていきましょう。最終的には、貯蓄商品と投資商品をバランスよく分散して資産形成していくことが理想的です。始めるにあたって、知っておくべきことがあります。投資をしようとやみくもに始めるのは、避けるべきです。小さな失敗は成功へ繋がりますが、知らないことで取り返しのつかない事態に陥るほど怖いものはありません。
なぜお金について考える必要があるの?
日本FP協会によると、「ファイナンシャルプランニングとは、ライフプランに基づいて必要なお金を把握したうえで資金計画を立てていくこと」と定義されています。人生において、なにかと必要なのがお金です。労働の対価、モノの対価であり、交換手段のツールであり、幸せにも不幸にもしてしまうものです。お金がすべてではないけれど、なにかと影響を与える「お金」と上手くつき合えるようになりたいものです。
「今」だけでなく「将来」についても考える必要があります。目指すのは、100歳でも枯渇しないプランづくりです。シニアになると、これまでどおり労働収入を得ることは難しく、年金と金融資産の取崩しで生活していかなければなりません。取り崩せるだけの金融資産を準備する必要がある訳です。なにが起こるかわからないのが人生です。順調にいけばよいけれど、もしものリスクについても考えておく必要もありそうです。
ざっくりで構いません。将来得られるお金、将来かかるお金について、知ることです。余裕があれば安心ですし、不足しそうであれば、準備をしておきたいものです。
行き先のわからない電車に乗るのは不安なものです。
旅行を思い浮かべてみましょう。
美味しいものが食べたい →牛タンが食べたい →仙台が有名らしい →東京駅から東北新幹線に乗ろう →ランチが食べられるように朝の時間帯にしよう。 |
例えば、ですが、こういった思考になるのではないでしょうか。
まず行き先を決めて、現在位置を把握し、どうやって行くか考えます。
時には、気まま旅もよいかもしれませんが、基本は、「計画を立てること」、そして「準備をすること」がポイントです。
やみくもに、駅に向かいホームにいる電車に飛び乗ったところで、目的地にたどり着くのは難しいものです。「こんなはずじゃなかった。」の後悔やムリやムダが生じることになります。
人生も同様です。人によって、最短距離(最短時間)で行くか、景色のよい経路を選ぶか、目的も手段も違うものです。プランに正解はありません。一度きりの人生を「自分らしく」生きたいですね。
結婚したい、子供がほしい、住宅を購入したい…というライフプランを考えてみましょう。思い通りにいかないこともたくさんあります。そんな時も、回復できる(するための)選択肢を残しておくことをおすすめします。年齢を積み重ねると、選択肢が少なくなることは否めませんが、それでも、希望をもって生き続けたいものです。
ライフプランとファイナンシャルプランニング
人によって夢や希望、価値観はそれぞれであると知ったうえで、目安となる数字を知ることは有効です。基準をつくることで、目標を立てやすくなります。
インターネットでの情報収集や専門家のアドバイスを参考にしてみましょう。
成功例だけでなく、失敗例は意外と参考になります。繰り返しになりますが、あくまでも目安として捉えましょう。一度計画を立てたらおしまいではなく、定期的に見直す必要があります。方向変換や軌道修正もアリです。1年から3年くらい先の短期的、10年くらい先の中期的、退職後などの長期的とプランを分けると、効率的です。
短期的見通しについては、より詳細に考えられますよね。
自分が、もしくは、自分たちが、「どんな生活を送りたいか」で考えてみてください。
何をするかという観点で考える「ライフプラン」と同時に、自分らしく人生を設計するという観点で考えましょう。最近では「ライフデザイン」というキーワードも聞くようになりましたね。
退職後に大学に通う方や、起業する方も増えています。
転職や副業(複業)もマイナスにはならない時代です。時代に流されるのでなく、自分自身をコントロールできるようにしたいものです。そのための「なぜ」を知ること、そして、理解すること、そして、考える習慣をつけましょう。
相談できる専門家として、ファイナンシャルプランナーを活用することは有効です。制度やしくみを知ることができると同時に、あなたのプランを一緒に考えることが可能です。
☆この記事を書いたのは...
|
大竹麻佐子 ファイナンシャル・プランナー CFP®、相続診断士、整理収納アドバイザー
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て2015年FP事務所開業。相談・執筆・講師として活動中。 より豊かに自分らしく生きるためには、「お金と向き合うこと」が大切です。 知識だけでなく経験を踏まえたアドバイスとともに、全力でサポートします。 |